04 ペア

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「今日は普通科との合同演習を行う」

一限目、突然演習場に集められ相澤先生から突然告げられた。
当初の予定は教室での授業だったはずだが、担任の教師が風邪でダウンしてしまい、他の教師も手が空いていないらしく、ヒーロー科A組の授業と合同で行うことになったそうだ。
普通科の大半はヒーロー科を志望していた人が多く、演習自体滅多になく喜ばしいことなのだが、ヒーロー科をあまりよく思っていない人もちらほらいた。
皆どんなことをするのかわくわくしていたが、私は少し不安だった。
他の生徒には口頭で説明しているが、私には聞こえないため事前に授業内容を書いた紙をもらっていた。

二人一組チームでの実践演習

ヒーロー科と普通科でペアを組み、相手チームと闘い敵役チーム二人のどちらか一人を捕縛できれば勝ちという内容だった。

(ペアか…)

チームで動くということは連携が必要になるのは当然のこと。
初めて会うことが多いヒーロー科の人と連携を取るには、言葉を交わすことしか方法はない。
だけど私は…

「10分後には対戦相手を決める。それまでに各自で二人組作れ。誰とでも連携を組めるようになるのも必要だからな」

先生が説明を終えると、普通科の生徒もヒーロー科の生徒も互いに様子を伺いながらお互いの個性を聞いたりし始めた。
強い個性の人と組めばそれだけで有利になる。
ヒーロー科のなかでも有名な爆豪くんや轟くんの周りには、既に人がいっぱい集まっていた。
ほんの少しだけ、爆豪くんと組めたらな、と期待してしまったけれど彼は強い個性を持っているし、いろんな人が押し寄せている。無個性に近いうえ喋れない私なんかと組めるはずがない。
ふと顔をあげると、緑色の髪をした男の子と目が合った。
ゆっくりとこちらへ向かってくる。もしかしてペアを探しているのだろうか。
彼が口を開こうとしたとき、うしろから肩を引っ張られた。

(え…?)

顔をあげると爆豪くんが私の肩を掴み立っていた。

「お前は俺と組むんだろうが」
「かっちゃん、その子と知り合いなの?」
「黙れやデク。他あたれクソがっ」

爆豪くんと緑の髪の男の子が会話したあと、緑色の髪の男の子は少しビビった様子でどこかへ行ってしまった。
2人の会話はわからなかったけれど、最初に言った言葉
“俺と組む”
唇の動きでそう言った気がした。
ポケットに忍ばせていたスマホを取り出し文字を打った。

《爆豪くん さっき俺と組むって言った?》

画面を見た爆豪くんは私のスマホを取り上げると、文字を打ち始めた。

「言った」
《私と爆豪くんがペアになるの?》
「他に誰がいんだよ」
《いいの?私個性使えないよ?》
「俺が強いから問題ねぇだろ」

淡々と当たり前のように返す爆豪くんの言葉。
さっきまで不安だった気持ちが一気に晴れていく。
どうして私を選んでくれたのかは分からないけれど、それでも選んでくれたことが嬉しかった。

《がんばろうね!爆豪くん!》
「あぁ」