20_漢なら


授業が終わりそのまま友達と喋っていたら部屋に着いたのは午後6時を過ぎていた。
制服から白いTシャツと短パンのジャージに着替え、ベッドに倒れ込んだ。

ピロン。
机の上に置かれていたスマホが着信音をたてた。
疲れ切った重たい体をゆっくり起こしスマホに手を伸ばした。
画面にはメッセージアプリに1件の着信があったことが表示されていた。

「…来栖から…」

今までならすぐにでもトーク画面を呼び出していただろう。
けど今は画面を開くことすら躊躇してしまっていた。
数日前に来栖に思い切って告白をした。
告白したことに後悔はなかった。
けれどそのあと来栖に近づくことすら拒絶されてしまった。
そこから俺は顔を合わせることもできず、来栖を避けるようになった。
きっと…いや来栖も気づいているはずだ。
俺は深呼吸をして意を決してトーク画面を呼び出した。

≪今日の夜、会えませんか≫
≪どうしても切島くんに伝えたいことがあります。少しでいいので私に時間を下さい≫

“どうしても俺に伝えたいこと”
改めて好きじゃないと言われるのだろうか。
それとも嫌いだとはっきりと言われるのだろうか。

「あー!!もう漢らしくねぇ!!」

両手で頬をおもいっきり叩いた。
頬がじんじんと痛む。
うじうじ考えているなんて漢らしくない。
トーク画面をもう一度みつめ、文字を打って返信した。

「よし!」

画面をそっと閉じポケットにスマホをつっこむと部屋をでた。