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『…電気?』
神治の視線の先に立っていたのは同じクラスのアホ面…上鳴だった。
顔を見れば、2人共驚いた顔で互いを見ていた。
横に立っていた俺も切島も置いてけぼりになっていた。
「ひ、久しぶりだな癒月!」
『久しぶりだね…。電気、雄英にいたんだね』
「癒月こそ雄英受けてたなんてびっくりだわ。どの学科?」
俺達の存在を忘れているのか2人はどこかぎこちない様子で喋っていた。
話を聞いて分かったことは、2人は知り合いだということだけだ。
「こないだの授業にきててまさかとは思ったけど…やっぱ癒月だったのか」
「おい上鳴。俺らを忘れてねェだろうな」
しびれを切らした切島が会話を遮るように間に入った。
『私そろそろ行くね。爆豪君もわざわざありがとう。じゃあね』
「あ、おい!」
神治は頭を一度下げると逃げるように学校へ走って行った。
顔をあげたときの彼女は少し戸惑ったような顔をしていた。
振り返り上鳴を見てみれば、悲しそうな表情を走り去って行った神治の背中に向けていた。
「で、あの子と知り合いなのかよ」
残された俺達は一緒に学校へ向かった。
後ろに切島と上鳴が横に並び、その前に俺が歩いていた。
気になっていることを切島が問いかければ、上鳴は少し気まずそうな顔をした。
「あー…まぁ知り合いっつーか…元カノ…」
上鳴の言葉に思わず振り返ってしまった。
「……は!?お前彼女いたのかよ!元カノってことは…中学のときか?」
「中1の夏ぐらいから中2の冬までだけどな」
「驚いたな…お前に彼女いたなんて…」
「それさりげなく酷くね?」
付き合ってた。
その言葉が酷く気に入らない。
俺の知らない数年前、2人が一緒にいた姿を想像するだけでイライラして仕方がない。
前を歩く俺の様子も知らない2人は後ろで話を続けていた。
それを俺は黙って聞いていた。
「なんで別れたんだよ」
「俺が告ったんだけどさ、癒月って結構サバサバしてるとこあって俺の事本当に好きなのかなぁって思ってさ…他の子にナンパして試したんだよ。ヤキモチ妬いてくれるのかって」
「まさかと思うけど…それでフラれたのか?」
「フラれたっていうか自然消滅した。妬いてくれるどころか何も言ってこなくて、だんだん疎遠になって…3年になってやり直そうって謝ろうとしたら…アイツ転校しちゃってたんだよ」
顔を見なくても分かる。
コイツはたぶん、神治に未練があるのだろう。
神治と会話していたときも、今話しているときも、いつものおちゃらけた雰囲気とは全く違う。
普段の俺ならきっと興味を持たない。
けど今は違う。
朝の神治の様子をみれば気まずかったというのもあるだろうが、おそらく上鳴と同じで未練があるのだと思った。
あの場の2人の空気に俺は入り込めていなかった。
「やり直してぇのか?上鳴は」
「…ははは。向こうはきっと何とも思ってねぇだろうな」
「………」
俺は何も言えなかった。