どら焼き

8月のある日、エマがマイキーのプレゼントを買いに行くのについていった後うちに遊びにきていた。ついこないだ真一郎くんのお誕生日が終わったところだけど、8月はマイキーの誕生日もある。

「ベル、なにも買わなかったけど、もうマイキーのプレゼント用意したの?」
「用意したっていうか、するっていうか……」
「どゆこと?ベルからのプレゼントなかったらマイキー怒るよ」

エマの言う通り、プレゼントがなにも用意されてなくて怒る……というより拗ねるマイキーはすぐに想像できた。マイキーはふたつ年上だけど、時々めちゃくちゃ子どもっぽい。いや、圭介も子どもっぽいとこあるから男の子はみんなそうなのかもしれない。

「エマにお願いあるんだけど」
「なあに?」
「ちょっと味見してほしいの」
「味見?」
「こっちきて」

わたしの部屋は勉強机と寝るだけのお布団と簡易クローゼットしかないから、居間の方にエマを連れていく。「ちょっと待っててね」って声をかけてから、冷蔵庫にしまってあったどら焼きのお皿を持って行った。

「え?なにこれ、どら焼き?そんなの作れるの?!すごーい!!」

手放しに褒めてくれるエマに照れ臭くなる。

「図書館でね、本見つけて……マイキー、どら焼きとかたい焼きすきだから」

真一郎くんの時はコーラ以外にすきなものわかんなかったからクッキーでバイクとか、バイクに関係するものを作った。マイキーは甘いものがすきだし、ケーキとかを焼こうと思ったんだけど、よりすきなあんこのお菓子の方がいいかなって思ったのだ。あんこは一昨日お休みのお母さんに手伝ってもらって作った。圭介にマイキーに内緒にしてね、って100回くらい伝えて、お母さんにも圭介にも味見してもらって大丈夫そうではあったけど、他の人の意見も聞きたかった。

「食べてい?」
「うん、感想聞かせて」

ドキドキしながらエマが食べるのを待つ。ひとくち、ふたくち。もぐもぐ食べはじめて、笑顔でおいしいって褒めてくれた。

「ベルのどら焼きあったらケーキいらないね」
「エッ!失敗するかもだから、ちゃんとケーキ予約してよ!!?」
「えー、どーしよっかな〜?」

意地悪言うエマのお腹をこしょばして、エマからもこしょばされて二人で訳分からないくらい笑い転げた。

「お誕生日のときはね、もうちょっと大きく作って、デコろうと思ってて」
「きっとマイキーどら焼き独り占めにしちゃってエマたち甘いもの食べられないから、ケーキ予約しにくねっ」
「うん」

マイキーのお誕生日会、たのしみ!

(20210820)

Happy Birthday Mikey!


High Five!