夢追い人

夢追い人



バン!
鳴り響いた音に自転車をこぐ足をとめた。

部活の帰り道、山越えをする途中に聞こえた音。もしや鉄砲?
映画なんかでよく聞く発砲音に、おれの好奇心は刺激され、自転車はいつもの帰路から大きくずれた道を走り出していた。



山の奥にこんな場所があるとは知らなかった。どうやら何かの競技をする場所らしい。的が設置してあった。てことは、やっぱり鉄砲?

「あれ、君誰?」

「えっ、おれ日向!」

そうして反射的に答えて声を振り返る。俺と同じ年くらいの女の子が、鉄砲?を持って立っていた。

「ひいっ、射たないで」

「え、射たない射たない」

女の子は慌てたように答える。

「それ、鉄砲?」

「うん。競技用のね。オリンピック射撃、知らない?」

「オリンピック!」

オリンピックは知っているが、射撃というのはよくわからない。

「日向……あ、隣のクラスの日向翔陽くん?」

「えっ、そう! 日向翔陽」

「そっかあ。あ、私は霜月ミオ」

「霜月さん、は。何してるの?」

「オリンピック目指して練習してるの」

「おお……」

かっこいいと思ってしまう。おれは春校を目指してるけど、霜月さんは世界を目指している。まあおれもいつかは世界を目指すけど。

「ねえ、練習手伝ってくれないかな」

「えっ、いいの?」

「うん。一人だと大変なんだ」

こうしておれは霜月さんの手伝いをすることになった。



近くで見ると銃を撃つ霜月さんはかっこよかった。
バン!、と響く発砲音は何回聞いても慣れない。

霜月さんは的をにらむように見て、発砲して、その的に穴が開く。こんなに遠くから撃ってあんな小さな的に当てるのだ。
おれなんかスパイクを思った方向に打てるようになったばかりだっていうのに。

「霜月さんはかっこいいな! オリンピック、選ばれたらいいな!」

「ありがと。頑張るね」

彼女もおれも、夢を追う人だ。



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200万hit企画。
あやせさまリクエストです。
日向くんがオリンピック射撃をする夢主を手伝うお話です。
企画参加ありがとうございました!



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