恋、恋、恋

(「熱を持つ」続き)


恋、恋、恋


恋というのは厄介なものだ。気づいたときには落ちていて、しかもそれは自分を自分じゃない何かにする。

今日も意気込んで朝練に来たのに、やっぱり霜月が気になって練習なんか手につかない。おまけに俺は、なぜだか潔子さんにたいして普通に接することができないのだ。

「き、潔子さん……!」

今日もお美しいですね。
いつも言っていたそれが、なぜだか喉につまったように出てこない。
罪悪感にもにたそれが、俺を邪魔する。

「田中?」

「あ、何でもないっす」

それもこれも、霜月に恋をしているからに他ならないのだ。



一年の秘密の特訓が終わるのは素直に嬉しいことだ。大地さんにようやく認められた影山と日向は、本当に嬉しそうだった。
だけど俺は、どこか空虚だ。

「田中くん。お疲れさま」

「おう、霜月もお疲れ」

その空虚は霜月との時間が楽しかったからなのかもしれない。

「楽しかったね」

俺も同じだと伝えたかった。そのはずだったのに、俺の口から出たのは突拍子もないものだった。

「ま、マネージャーになってください!」

しかも声は裏返るしで、俺はいよいよ霜月に恋をしていることを再認識させられた。



――――――――
千明さまリクエストです。
田中くんで「熱を持つ」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



170604