諦め

諦め


「あれ、君って夜久のお姉さん?」

またか。
私は人生で何度目ともわからないその言葉にひきつった笑いを向けた。

「霜月です。霜月ミオ。夜久くんとは親戚でもなんでもない、あかの他人です」

言えばほとんどの人間は、ばつが悪そうに話題をそらすんだけど。

「ごめんね、夜久くん、また巻き込んで」

「……いいって。ミオも大変だな」

決まって彼はそう言うけど、私は肩を落とすばかりだった。




夜久くんとは同じ高校で、こういうのもなんだけど確かに私と彼は似ているのだ。
他人から見たら、姉弟に見えても仕方がない。

「はー。私……」

体育館の入り口から、中を覗く。
バレーをする彼は、かっこいい。

「……はぁ」

先程からため息しか出ていないが、それは仕方のないことだ。

私は彼が好きなのだから。

「あれ、夜久姉じゃん」

「なっ、黒尾くんそれやめて」

体育館を覗いていた私に気づいた黒尾くんが、にやにやと私に近づく。
こいつは恐らく、私の気持ちを知っている。

「夜久に用なんじゃねえの?」

「そ、そんなんじゃないし」

そう言って私は体育館から離れるように歩く。

夜久くんと私の接点なんて、ただ単に"顔が似ていてよく姉弟と間違われる友人"。
私は彼がいつからか好きで、だからこの関係がもどかしかった。

かといって、彼に告白する勇気もない。

「あれ、夜久さんのお姉さんですか?」

そうして私はまた今日も、彼の姉と間違われて、ひきつった笑いを浮かべるのだ。



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千明さまリクエストです。
夜久くんで、姉弟と間違われる切甘です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!


160212