宣戦布告

宣戦布告


ある日、おれのクラスに転校生が来た。
その女の子はとても明るくてフレンドリーで、おれとは正反対だと思った。

「やほー、研磨くん、今日もゲーム?」

「…………」

まただ。
こうして、毎朝……いや。昼も放課後も、暇さえあれば彼女はおれに話しかけてくる。

「ね、私もゲーム始めたの。教えて?」

「……無理」

「えー、即答!」

おれはいつも彼女に無愛想にしてるのに、彼女はいつだってそんなおれを笑い飛ばした。



「おーす、研磨。部活行くぞ……と、またお前か、ミオ」

「あ、クロ。お疲れさまです」

クロが来るなりおれの隣で楽しげに話していた霜月は、クロに笑顔を向けた。

「なに、ミオ。研磨となにしてんの?」

「ああ。ゲーム教えてもらってました」

また、ふわりと笑う霜月に、クロもまたいつもからは想像できない柔らかな笑みを浮かべ、霜月の頭を撫でた。
ちくっと胸がささくれ立つ。
なんだろう、これ。

「お前くらいだよ、研磨と仲良くできんのは」

クロがまた霜月に柔らかく笑いかけた。
なぜか、いらっとした。

「おれ、霜月と仲良くなんかないし」

だから気づいたらそう言い返していた。

「研磨くん?」

霜月はおれを心配そうに見たけど、おれは彼女から顔をそらした。

「へんなの」

そして霜月はまたからからと笑う。
人の気も知らないで。
そんなおれの気持ちを知ってか知らずか、クロはまたミオに話しかける。

「なあ、ミオ、放課後空いてる?」

「え、クロ、何でです?」

ああ、イライラする。
霜月はきっと、おれなんかじゃなくても、誰にでも優しくする。
別に、おれじゃなくても、誰にでも話しかける。

それに、幼馴染みのクロは、霜月に思いを寄せているのは明らかだ。

「おい、研磨?」

「おれ、邪魔者みたいだから。先行ってる」

いつのまにかおれは、霜月が側にいることが当たり前になっていて、だから気づかなかった。
いつの間にか、こんなにも彼女が好きだったのに。

「おれの、ばか」

部活なんか、身が入らなかった。



その翌日、霜月はおれに話しかけなくなった。
なんでかおれはイライラした。

きっと霜月は昨日、クロに好きだとかそういうことを言われたのだろう。

だけど、おれだって。

「ねえ、霜月」

「え、え? 研磨くん?」

放課後になり、おれは霜月に話しかける。
霜月は案の定気まずそうな顔をしておれから顔をそらす。

「おれ、"ミオ"が居なきゃ、ダメみたい」

その言葉に、ミオはいつもからは想像つかないくらい動揺をし瞳を揺らす。

「研磨く、」

「おれ、ミオが好き。クロには負けないから」

宣戦布告とともに笑って見せたら、ミオは耳まで真っ赤にしてうつむいていた。


――――――――
千明さまリクエストです。
研磨くんで、研磨くんのクラスの転校生、フレンドリーで研磨くんに話しかけ、最初は研磨くんが鬱陶しくするけど、徐々に居ないとダメな存在になるお話です。
(黒尾くんはクロ呼びで敬語、三角関係)
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!


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