ナンセンス
ナンセンス
「君、背ぇ高いね。モデルかなにか?」
休日の遊園地にて。
私は晴れて恋人となった衛輔くんとデートをしていた。
なのにいきなりナンパされ、私は気まずい思いをしていた。
「わ、私、彼氏いるのでっ」
言って隣にいる衛輔くんの腕をつかめば、ナンパさんはくつくつと笑った。
「彼氏? そんなちっさいのが?」
あからさまな嫌みに私は言い返そうとしたけど、衛輔くんに止められて私はなにも言えなくなった。
「べつに、身長とか関係ないですから」
そして二人で手を繋ぎナンパさんから離れるように歩き出した。
楽しいはずのデートなのに。私が悶々としていたら、今度は衛輔くんがいわゆる逆ナンに遇っていた。
「ね、君さ、彼女いるの?」
「や、その……」
背の高い大人なその人に衛輔くんはたじたじだった。
それがなんだか気に入らなくて、私は彼に歩み寄ると、嫌みにいった。
「衛輔くん、私なんかよりきれいな人にでれでれだね、」
にこ、と笑えば衛輔くんも私を見てみるみる怒るのがわかった。
「は? ミオ、ミオだってさっきナンパ野郎に気を引かれただろ? 自分より背ぇ高い男のがいいんじゃねえの?」
バチバチと私たちの間に火花が散る。
そして私たちは同時にふいっと顔をそらした。
そんなこんなで遊園地なんて楽しめるはずもなく、悶々とした時間だけが過ぎていく。
そんな帰り道。
「ミオ、」
「……」
「ミオ!」
ふっと抱き締められて、私は衛輔くんを見る。
困ったような泣き出しそうな顔に、私の毒気は抜かれてしまう。
「衛輔く、んぅ」
そして問答無用のキス。
「思えば俺たち、背が高いとか低いとか、そんなの関係なしに好きあってて……昼間はごめんな」
ばつが悪そうな彼の笑顔に、痴話喧嘩なんて私たちにはナンセンスなんだと思うのだった。
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千明さまリクエストです。
夜久くんで「キューピッド」続き、遊園地デートで互いがナンパされ喧嘩からの仲直りです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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