さんにん(「
宣戦布告」続き)
さんにん
ピリピリした空気に、俺はあからさまにため息をついた。
この前――俺がミオに告白して以来、研磨もミオもぎくしゃくしていた。
それが、研磨を苛立たせているらしい。
いつも通り、研磨を教室まで迎えにいけば、ミオと研磨は明らかに今までとは違う雰囲気に包まれていた。
「け、研磨くん、?」
「……なに?」
あの、研磨が自らミオと関わろうとしているのに対し、ミオはぎくしゃくとした動きや口調で、出来ればはやく研磨から離れたいといった空気をまとっていた。
「おーす、研磨。部活行くぞ」
「クロ!」
俺が研磨に話しかければ、ミオは顔をパアッと明るくし、安堵したように声を漏らした。
みるみる研磨の顔が歪んでいく。
「ねえ、ミオ。そんなにおれが嫌い?」
「え、ち、違うよっ?」
弁明するミオに、研磨はじと目を向けている。
まあ、こうなった理由が俺にあったとしても、研磨も研磨でガキ過ぎるし、そもそもミオはきっと。
「なあ、研磨、その態度はないんじゃねえの?」
「なんで? ……そもそも誰のせいでミオがこんな風になったのか分かってるでしょ?」
珍しい、研磨の殺気だった顔。
そりゃまあ、自覚はあるけどよ。
だけどだからって、言われっぱなしは癪だった。
「はあ? それ言ったらはじめミオを邪険にしてた研磨には言われたくねぇんだけど?」
「っ! それとこれとはべつでしょ。大体クロがミオに変なこと言わなきゃ今まで通りだったし!」
ごうごうと俺と研磨の間に炎が燃え上がる。
「じゃあ、研磨、お前は悪くないのかよ?」
「……悪い悪くないの問題じゃないでしょ?」
普段あまりしゃべらない研磨が、今日はやけに饒舌だった。
俺も研磨も譲る気はなくて、暫しにらみ合いの膠着状態に入った時だった。
「や、二人とも……ひっく」
聞こえた声にミオを見れば、泣いていた。
研磨とのやり取りで気づかなかったが、ミオは困惑して泣いていたのだった。
「……もういい。おれ先にいくから」
そんなミオを見た研磨は、一瞬だけ顔を歪めたが、逃げるように教室をあとにした。
残された俺とミオに沈黙が流れる。
結局あれだ。俺は損な役回りなのかもしれない。
あの日、ミオに告白した日から気づいていた。
ミオは研磨が好きなんだと。
「あー、はぁ。なあ、ミオ。驚かせて悪かった」
「……クロ?」
ぽんぽん、とミオの頭を撫でればミオは涙で濡れた目で俺を見上げる。
「お前、もう自分の気持ちに気づいてんだろ? ……俺に気をつかってんならやめろな? 研磨は頑固だから、自分から謝ったりしないし、告白なんかも出来ない性格なのはミオの方が知ってんじゃねえの?」
自分でも驚くくらい流暢に出た言葉。
ああ、まじで損な役回りだ。
だけど、俺がミオを好きなのと同じくらい、研磨はミオを好きなのだろう。
そしてミオも、研磨に向ける気持ちとは別であれ、俺を大事にしたい気持ちから、告白に踏み切れないのだろう。
「じゃ、あとは自分で考えな?」
そうして俺は、ミオを残して教室を出た。
その数時間後。
俺とミオと研磨は、部室に三人で顔を合わせている。
「あー。研磨くん、クロ……」
ミオが少しずつ、言葉を発する。
「クロ。私、クロを本当に大切に思ってます。でも、研磨くんに対するそれとは違います」
そしてミオは研磨を見る。
「研磨くん、私ね、いつからか研磨くんが好きだった。たぶん、あの日。研磨くんに好きだって言われた日から。だから、付き合ってくれま、せんか?」
「ミオ、っ、」
研磨は申し訳なさそうに俺を見た。
ああ、バカだな。
「たく。見ててイライラすんだっつの! フラれたからって、俺らの関係が崩れるわけないだろ!」
努めて明るく返してやれば、ありがとう。二人が同時に俺に言うのが聞こえた。
――――――――
千明さまリクエストです。
研磨くんで、「
宣戦布告」続き、夢主が研磨くんにぎこちなくして、イライラした研磨くんと黒尾くんが喧嘩、夢主がなくお話です。
(黒尾くんから夢主に研磨くんへの告白誘導、三人の友情のお話)
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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