腐れ縁
腐れ縁
幼馴染みなんて実際なんの特もない。俺の幼稚園からの幼馴染みは、可愛いげのないやつで、今日だってほら、俺に噛みつかんばかりに睨んでいる。
「なに? バカミオ」
「べつに? バカ鉄朗」
ほらな、かわいげなんてひとつもない。
いつからだったか、ミオは俺を"バカ鉄朗"だなんて呼ぶようになった。だから俺も意地になって"バカミオ"なんて呼んでるけど。
だけどまあ、あれだ。俺が苛立っているのは、結局のところ、ミオが俺をこうやって邪険に扱うからだ。
「はー。幼馴染みがもっと優しいイケメンだったらよかったのに」
「はぁ? バカミオはまたそんな夢みたいなこと」
バチバチと俺とミオの間に火花が散りやがて二人同時に顔をそらした。
そんな何気ない日々を送っていたある日のこと。ミオは一気にクラスの注目の的になった。
きっちり切り揃えられた前髪。いわゆるぱっつん。本人は気にして隠しているようだが、周りの評判は悪くはないようだった。
「よー霜月、前髪切ったの?」
「えっ、自分できったら、間違っちゃって……」
ぎこちなく返事をするミオは、頬を朱に染めしおらしく笑った。
「でも、似合ってるよ!」
「あ、ありがとう」
先程からそれの繰り返し。話しかけずとも周りの男子もミオをチラチラと見ているのは明らかだ。
イライライライラ。
だから気づいたら、俺はミオのもとに歩いていた。
「おいバカミオ」
「なっ、バカ鉄、朗、えっ!?」
ミオが俺を振り返った刹那、俺はミオを抱き締めていた。
「てつ、ろ」
「俺、ミオが好きだから。幼馴染みだなんて思ってんのはお前だけだからな?」
しん、と周りが静まり返る。
はじめからこうしときゃよかったんだ。だってほら、周りのやつらと来たら、やっぱりか、なんてひそひそ話をしているくらいだ。
俺の気持ちに気づいてないのは、なあバカミオ、お前だけなんだよ。
腕の中のミオは照れからか、いつもの毒を吐くことすらできずにただぽかんと俺を見上げていた。
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千明さまリクエストです。
黒尾くんで腐れ縁の幼馴染み、間違ってぱっつん前髪にして注目され、クラスで公開告白され、照れるお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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