秋の味

秋の味




早いもので季節はもう秋になっていた。
私は秋が大好きだ。栗に柿にキノコにサンマに……いろんなものが美味しい季節だからだ。

「お前、食ってるときが一番幸せそうだよな」

「鉄朗? だって、食欲の秋到来だよ?」

私は秋限定のお菓子を食べながら鉄朗に答えた。
鉄朗は私の幼馴染みの同い年の男の子だ。

「まったく、お前は色気より食い気だな」

「そんなの今に始まったことじゃないじゃない」

私はまた一口、お菓子を口に入れる。秋限定の味が口一杯に広がった。

鉄朗は私を見て大きく息を吐くと、そのまま身をのりだした。

「え……?」

身を乗り出したかと思ったら、そのまま私の唇に鉄朗のそれが重なった。

言葉を失ってしまう。

「甘……」

鉄朗は私を見てニヤリと笑う。

「俺も秋の味覚を堪能しようと思ってな?」

口に広がる秋限定のお菓子の味なんかどこかへ消えてしまう。
鉄朗からのキスの味に、私は酔わされてしまったようだ。



161004