追いかける人
追いかける人
最近研磨が不機嫌だ。なんでも、女子に追いかけられているんだとか。しかも相手の女子は見ず知らずの人間で、確か通学中にばったりでくわしたことがあるだけとか。
この研磨に一目惚れするなんてどんな物好きかとも思ったが、案外普通の女の子だった。
「クロ、面白がらないで」
「悪い悪い。でも、かわいいじゃんあの子」
「おれ、そういうの興味ない……」
研磨は興味ないと言っていたが、どうにも釈然としなかった。研磨は本心でその子を無視しているのかわからないからだ。
だから俺は、行動を起こした。
「よう、追っかけさん」
「えっ、わ。私?」
「君以外に誰がいるの」
いつものように研磨の部活を見に来ていたその子に話しかけた。体育館の入り口に隠れていた彼女は、俺が話しかけると挙動不審に目を泳がせた。
「君、研磨が好きなんでしょ?」
「え、あの」
「あー、悪い。俺らも君のこと観察してるんだわ」
予想外だったのか、その子は恥ずかしそうにうつむいた。
「あー、責めるつもりで来たんじゃなくて。今日の部活後まで時間ある?」
「え?」
「ちょっと話そうぜ。研磨のこと、聞きたくねえ?」
「き、聞きたい!」
「じゃあ決まりな」
そうしてその子との約束を取り付け、俺は部活へと戻っていく。
部活を無事終えて部室て着替える。
「あ。研磨、俺体育館に忘れもんしたから取ってきてくんねえ?」
「嫌だよ」
「頼むって。今度なにかおごるから」
「……仕方ないな」
研磨はなんだかんだ俺のたのみを断らない。俺はそれにつけこんで、研磨を体育館に行かせることに成功した。体育館にはあの子がいる。
研磨のあとをつければ、案の定あの子と研磨は出くわした。だけどなかなか会話が成り立たない。見ていてやきもきしてしまい、ついその場に歩いていた。
「あれ? あれあれあれ? 君たちそういう関係だったの?」
「クロ、やめて」
「そうですよ! 孤爪さんに悪いです」
揶揄したってなにも進まないのは当たり前だ。
「なあ、研磨も追いかけられて満更でもないんでしょ?」
「クロ!」
「なあなあ、付きあっちまえばいいだろうよ」
だめ押しの一言に、研磨の顔が赤くなる。相手の女の子の顔も同じく赤くなり、やがて二人同時に頷いた。
「付き合う?」
か細い研磨の声は、だがはっきりと彼女に伝わったようだった。
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三周年企画。
研磨くんの追っかけ。
企画参加ありがとうございました!
170427