つまりは君が

(「なぜどうして」続き)


つまりは君が



霜月はごく普通の女の子。そう、そのはずだった。なのに。

「おはよ、山本くん」

「…………うす」

なのに今は、女神のように神々しい。なにせこの俺に話しかけてきてくれる唯一の女子なのだから。それにこの前はバレー部の見学に来て、俺に声援を送ってくれた。黒尾さんや研磨でもなく、この俺に!

「今日さ、放課後に部活見に行っていい?」

「や、そ。それは」

「あ、ダメだった?」

「……ダメじゃないデス」

断れるわけがなかった。というか、霜月はこんなに堂々と俺の応援に来て恥ずかしくないのだろうか。いや、もしかしたら本当は俺の応援に来るふりをして他の誰かを見ているのではないだろうか。きっとそうだ、そうに違いない。……それはそれでがっかりするけど。




山本くんの部活を見に行く機会を増やした。好きだと自覚してから大分たつけれど、最近の私は本当に積極的だ。

「山本くん頑張れー」

声援だって恥ずかしげもなく送るようになっていた。今日はがちりと目があってしまって、慌てて顔をそらした。

声援を送ると山本くんがミスをすることは少なくなかったから、大事な場面では声援を送らないようにしている。気を散らしたら悪いから。

「かっこいいなあ」

周りには山本くんを応援する女子はいない。というか、私が山本くんに声援を送るといつも「は? 山本くんの応援?」って顔で見られる。
いいんですよー、わかる人にしか山本くんのよさはわからないんだから。

そんな風に心のなかで呟きながら、私はいつも山本くんを応援に来る。山本くんに私の気持ちを気づいてほしい訳じゃない。ただただ、かっこいい山本くんを見たいだけなのだ。
いや、ちょっと訂正だ。できれば山本くんに私の気持ちが届いたらな、なんて思っている。

つまりは――



今日も霜月が俺に声援を送ってくれた。その時俺は霜月を凝視してみた。が、その瞬間霜月とがっちり目があってしまい、霜月は俺から顔をそらした。
まじか。
てっきり他のバレー部員を見ているんだと思っていたのに、どうやら霜月は本当に俺の応援に来ていたようだ。

まじかよ。

「山本! 余所見すんな!」

「あ。うす!」

こうなってしまったらもはや確定してしまったと言う他ない。

霜月は俺が好きで、俺もまた霜月が好きなのだと。


私は、
俺は、

――つまりは君が、好き。



――――――――
ゆふさまリクエストです。
山本くんで「なぜどうして」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



170804