なぜどうして

(「気づいたこと」続き)



なぜどうして




霜月が突然バレー部の見学に来た。



霜月は同じクラスの女子で、すごく明るくて友達もたくさんいる、普通の女の子だ。あ、普通じゃないかもしれない。笑うと超かわいいからな。

そんな霜月は、よく俺に話しかけてきてくれる。面倒見がいいんだと思う。

「おはよう、山本くん」

「あ、お、おう」

だがしかし、俺は女子とうまく話せない。だから霜月とは片言の会話になることも少なくない。それなのに霜月は懲りもせず俺に話しかけてきてくれる。俺に言わせたら彼女はまるで女神のようだった。



そんな彼女がバレー部の見学に来たとなれば、俺が動揺しないはずもなく。しかも声援を送られてしまった日には、スパイクを空振りしてしまうだろう。ていうか、空振りした。なんたって霜月が「山本くん、頑張れ!」なんて声援を送ってきたからだ。

うわ、はっず。

「山本、浮わついてんじゃねえよ」

黒尾さんの言葉は揶揄が混じっている。というか、声色はあきらかに面白がるそれだ。黒尾さんは霜月の方を見て、ははーん、とうなる。

「つまりあの子に惚れてるわけ?」

「ち、違いますっ」

「へえ。じゃあ"惚れられてる"んだ?」

「ふぁっ!?」

言葉を失う。
動揺のあまりおもむろに霜月の方を見たら、霜月が俺に頭を下げる。

なんで?

思いつつも頭を下げ返す。わきで見ていた黒尾さんが吹き出した。黒尾さんだけじゃなく海さんや夜久くんにあの研磨までも。

「頑張れ、山本!」

「あ、あざす!」

黒尾さんが俺の背中をばしんと叩く。体勢を崩しながら俺は反射的に返事をしていたが、それはつまり、俺は霜月を好きだという事実を認めたことになることに、あとになって気づいた。



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ゆふさまリクエストです。
山本くんで「気づいたこと」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



170717