じれったい

(「僕と君」の続き)

じれったい




「け……けーじ、どうかした?」

「うん? なんでもないよ」

時は昼休み。
俺は隣に座るミオの声に我に帰った。

「けーじ?」

そしてミオをじっと見た。
ミオは顔を赤くして俺から顔をそらす。

木兎ミオは木兎さんの妹で、だけどなかなか性格は似ていなかった。

内気でうぶで、だから付き合いはじめてからずいぶんたつのに、キスすらしたことがない。

「ミオ……教室もどろうか」

そうして今日も、屋上で二人きりの食事という、それなりのムードはありつつも、俺はなかなか踏み切れずにいた。



そんな帰り道。
俺がモヤモヤとしていたのをミオに見抜かれ、ミオは不安そうに俺を横目で見ていた。
俺はそんなミオに気づかない。

「っ、けーじ!」

いきなり制服の裾を掴まれたかと思えば、ミオは俺を見上げて目を潤ませていた。

「ミオ、どうしたの?」

「……けーじ、嫌いに、ならないで……」

あんまりにも必死で可愛らしいそれに、俺は自分に余裕がなかったことにはたときづいた。

「嫌いになんかなるわけないじゃん。好きだよ。大好き」

言えばミオはふわっと笑う。
そしてゆっくり目を閉じた。

俺の体が自然に動き、そのまま二人の影が重なった。
触れるだけのそれだったのに、俺の心臓は壊れそうなくらい脈を早めた。

「好き……私も、けーじが、好き」

うぶな彼女にやきもきしながらも、やっぱり俺は、彼女が好きなんだと思い知らされた。



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千明さまリクエストです。
赤葦くんで、「僕と君」の続き、うぶな夢主でなかなかキスできないお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!


160125