おとぎ話のような

おとぎ話のような


なんとなく、だった。
私はその日、友達に誘われて、梟谷バレー部の応援に行った。

会場にはたくさんのチアや応援団がいて、熱に当てられて息が詰まりそうだった。

私は観客席から逃げるように一階の廊下へ行き息をつく。

「はー、すご……」

勝つか負けるか、真剣そのものの試合なんてはじめてみた。

廊下をうろうろしていたら、ふと梟谷とかかれたジャージが目にはいる。

「あ……」

廊下でウォーミングアップをしていた梟谷バレー部に、私の目は釘付けにされた。

いや、バレー部というよりは、"彼"に見とれてしまったのだ。

癖のある黒髪、至極冷静な無表情の彼に。

確か同じ学年の赤葦くん、だったっけ?
私がじっ、と見ていたからか、赤葦くんは私に気づき、一瞬目があったかと思えば、ハッとしたように顔を逸らされた。

その行動に私までハッとしてしまって、慌てて廊下をあとにして、観客席へと戻っていった。

心臓が、五月蝿かった。




あの日、バレー部の試合を見に来ていた霜月に、俺は一目惚れしてしまったのかもしれない。

同じ学年なのはなんとなく知っていたけど、これといって接点がなかったから、話す機会もなかった。

だけどあの日、俺は彼女に一目惚れしてしまっていた。
だから翌日、俺は霜月の教室を訪れていた。

「あ、赤葦くん、何か用?」

「いや。この前、応援来てたけど、バレーに興味あるのかなって」

なんてこっけいな言い分だ、と思いつつも、俺はそれ以来バレーの相談だとかこつけて、彼女を訪ねた。

そうやって、俺は霜月との"友人関係"を手にいれた。




「赤葦くん、どうしたの?」

「え、なにが?」

ある昼休み。
俺は今日も今日でバレーの相談だと霜月と昼食を共にしていた。

霜月との邂逅に耽っていたためか、俺は霜月の声にハッとして我に返る。

「うん。そうだね、そう」

そうだ。
俺は霜月が好きで、好きで好きで好きで。

だからもう、我慢できなかった。

「えっ、赤葦くん、」

気づいたら霜月を抱き締めていて、霜月は目を見開いて俺を見ている。

「うん。ねえ、好き。好きだよ、"ミオ"。バレーの試合会場でミオを見た日から、ずっと」

気持ちを素直に伝えれば、ミオは俺の胸に顔を埋めた。
だめだったか?

「ん。私も、同じ。好き。バレー部の試合会場でひと目見たときから、ずっと」

思いがけない返事に、俺とミオはあの日、互いが互いに一目惚れしていた、なんて、どこかのおとぎ話のようだと思ってしまった。


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優衣さまリクエストです。
赤葦くんで、梟谷の応援にいってお互いにひとめぼれ、友達からの恋人です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!


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