末っ子
末っ子
梟谷高校に入学して三年目。
私には恋人がいる。名前は木兎光太郎。
彼はなんでもバレーでは日本で5本の指に入る大エースだそうで、確かにうちの高校はバレーが強くて有名だった。
そんな彼に告白され、付き合い始めてから一月がたった。
そういえばバレー部のマネの雪絵ちゃんがなんだったか忠告してくれた気がした。
なんだっけ……なんだっけ?
「おいミオ? 何ボーっとしてんの?」
時は昼休み。
教室で光太郎くんとお昼を食べていた私は彼の声に我に返った。
「え? なんでもないよ?」
私は笑って見せた。
光太郎くんと私は同じクラスで今日は久々にお昼をともにしていた。
いつもは光太郎くんはバレー部の人たちと食べたりもするから、今日はほんとに久々で、そのせいで緊張してるのかもしれない。
「ミオ? 俺のこと嫌いになった、とかか?」
「え? そ、んなことないよ?」
いきなり光太郎くんは不安げに私に言うと何を思ったかがたた、とその場に立ち上がった。
「俺はミオが好きだ! ミオ以外考えられない。なあ、好きだ、ミオ!!」
しん、と教室が静まり返る。
え、何急に……? なんで? え、恥ずかしい……
「ちょ、光太郎くん? 恥ずかしいからやめて……!」
恥ずかしさのあまり少し語気強めに言ってしまって、そしたら光太郎くんはがーん、と音がしそうなくらいに落ち込みを見せその場にひざを着いた。
「ミオが……ミオに怒られた!!」
「え、ちょっと、光太郎くん? あの、私怒ってない……ひゃ!?」
私が弁明しようとした瞬間、光太郎くんは私の足にまとわりつくようにしがみついてきた。
え、え? なに?
「光太郎くん……?」
「……」
話しかけても彼は返事をしてくれない。
顔を覗き込めばしょぼん、と音がしそうなくらいにしおれた表情が見えた。
ここで私は雪絵ちゃんの言葉をようやく思い出した。
『木兎はああ見えてメンタル弱いからね〜。一見長男に見えるけど末っ子だから。"しょぼくれもーど"には気をつけたほうがいいよ』
「光太郎くん……?」
「……ミオが足りない……」
小さく弱弱しい声に、彼の末っ子気質を垣間見てしまった。
――――――――
90万ヒット企画より。
「すごいスパイカーなのに末っ子気質な所が大好きです!」
そこが木兎くんの魅力ですよね。
151022