げんきなひと
げんきなひと
「おっはよー、赤葦!」
ばしんっ、と背中を叩かれた俺は崩しかけた体勢を直しながら声の主を振り返った。
だれ。
「あ、あの……」
「あ、私、霜月。霜月ミオ。木兎と同じクラスでさ! 赤葦のことは木兎から聞いてるよー!」
にぱっと笑うミオ先輩を上から下まで見渡す。
黒々としたショートカットに、前髪は右わけにしてピンで止めてあった。それにかなりスタイルがいい。そこまではごく普通の女子生徒だと思う。
俺はミオ先輩の膝に目をやる。絆創膏が貼ってあった。それもひとつではない。
「あ、これ? 私、男子に混じってサッカーとかするからさ。傷が絶えないんだぁ」
えへへ、と笑う彼女に、俺の心は一瞬で持っていかれた。
「……そ、そうなんですか……」
誤魔化すように返事をした。
それから俺は、木兎さんを訪ねる度に、ミオ先輩を観察するようになった。
男勝りでからっとした彼女は、誰にでもさばさばとした接し方をする。
裏表のない元気な人だと思った。
そんなある日。
「あっ、おはよう。赤葦」
「いつっ! ……おはようございます、ミオセンパイ」
いつものごとくミオセンパイは俺の背中をぱしんっ、と叩く。これはどうやらミオセンパイの癖らしい。
「ん? どした、赤葦?」
「ええ。ミオセンパイって、かわいいですよね」
なんの気なしに出た言葉だった。
だけどミオセンパイは顔を真っ赤にしてあわてふためく。あれ、もしかして耐性ない感じの人ですか。
「ミオセンパイって、実は初ですか?」
「ち、ちがっ、違うよっ?」
嘘。
明らかに動揺し上ずった声のミオセンパイに、俺はにいっ、と口の端を上げて距離を詰める。
「ミオセンパイ、かわいいです」
今度は少し意地悪く言ってやった。
ミオセンパイは耳まで真っ赤にしてわなわなと震えていたけど、これ以上は可愛そうかとからかうのをやめた。
「ミオセンパイの秘密、黙っておきますから」
「あ、赤葦……!」
ああ、そんな顔も出来るんですか。
なんともしおらしい表情のミオセンパイをおいて、俺は教室へと歩き出した。
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千明さまリクエストです。
赤葦くんで、男勝りな夢主の弱点を知るお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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