夏の終わり


夏の終わり


夏が終わる。

暑かった今年の夏も終盤に差し掛かっていた。

「ごめん、待った?」

「京治。ううん、今来たところ」

彼女はにこ、ときれいに笑う。
今はもう夜の七時。
今日は夏祭りだからとデートの約束を俺の方から申し出た。だけど俺は部活の忙しさから、二時間もオーバーして待ち合わせの公園に来た。

彼女は艶やかな浴衣を身につけ、普段は下げている髪をきれいにまとめあげていた。
普段とは違う服に髪型に、俺の心臓がどきりとはねた。

「京治? 私になにかついてる?」

「あ。いや。……きれいだなって、思ってさ……」

照れながらも正直に言えば、彼女は花がほころぶような笑顔を浮かべた。
俺が彼女に見惚れていれば、夏祭りの花火が上がる。

「ねえ、京治は私のこと、好き?」

暗い夜空を見上げながら言った彼女が、消えてしまいそうに見えた。花火のように、消えてしまいそうだと思った。
考えるまでもなく、彼女を抱き寄せていた。

「好きだよ。俺は君が大好きだよ」

夜の風が頬を撫でる。夏の終わりの気配がした。



160815