憎めない人

(「意識する」続き)


憎めない人



あの日、霜月センパイの怪我の手当てをして以来、なぜだか彼女と遭遇する機会が増えた。
いや、今までは遭遇していたことに気づいてなかっただけかもしれない。

「重い……あああっ!?」

先生の雑務を頼まれたのか、教材を運んでいた霜月センパイは、廊下で盛大に教材をばらまいていた。

「あああっ、先生、すみませんっ」

隣にいた先生に仰々しく謝る霜月センパイだったが、先生は温かい笑顔で霜月センパイを見ていて、責める様子もない。
きっと霜月センパイの人柄なんだろう。

なんだか頬が緩んでしまった。



はたまたある日は、廊下掃除をしていたかと思えば、盛大にバケツをひっくり返した。

「ああっ、ごめ、ごめんなさいっ!」

あわあわと水浸しの廊下を慌てて拭き上げる霜月センパイに、やはり同級生は温かい笑顔で接するのだった。

霜月センパイの人柄に、いつのまにか顔が緩む。
俺は霜月センパイに気をとられていて、部活の先輩である白福さんと雀田さんに気づかなかった。

「赤葦がいるなんて珍しいね。……ミオちゃん気になる?」

「なっ、ちが……」

違う、なんて否定しても俺の緩みきった表情を見れば、俺の気持ちなんてあきらかなのに。


――――――――
千明さまリクエストです。
赤葦くんで「意識する」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



160603