夢中

(「写真」続き)


夢中




ある日の昼休み、ふと教室の外を見ると、霜月の姿を見つけた。
木陰の草むらにうつ伏せになりながら、必死に何かを撮っていた。

写真好きの霜月は、よく俺の写真を撮りに来るが、霜月が写真を撮る姿を見るのは初めてかもしれない。
気づいたら霜月がいる校庭めざして走り出していた。




「この辺だったはず……」

下り立った校庭を見渡す。この木陰に居たはずだと辺りを見渡せば、霜月は相変わらず草むらにうつ伏せになって写真を撮っている。

どうやら、校庭を走り回る生徒を撮っているようだ。

「霜月……」

話しかけても霜月は俺に気づく様子もなく夢中で写真を撮っている。
本当に写真が好きなんだな、と笑いが漏れた。

「霜月!」

「え、はい?」

うつ伏せの状態のまま、霜月は顔だけを俺の方に向けた。

「赤葦くん、どうかしたの?」

俺に気づいた霜月は、立ち上がると制服についた土埃を叩き落とす。

だけど、ねえ。

「霜月って、本当に写真が好きなんだね」

霜月の頭に手を伸ばし、髪についていた木の葉をつかみとる。

「髪に木の葉つけて写真撮るなんて、どれだけ夢中なんだよ」

クスリと笑えば、霜月は照れたように笑い返す。

ねえ、ファインダー越しに、君はどんな世界を見ているんだろうね。




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穂香さまリクエストです。
赤葦くんで「写真」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



161007