手が焼ける人

(「うまくやってください」続き)


手が焼ける人



木兎さんと姉さんが付き合い始めた。部活の皆も黙認のそれだが、俺は少し気がかりなことがある。

「赤葦! 今日はもう俺にあげるな!」

今日も今日で、ショボくれモードに入った木兎さんを、俺も部員もあきれ半分、不安半分に見るしかなかった。



そんな東京合宿前、木兎さんはやはりというか数学のテストで赤点をとった。
俺が気がかりだったのは、木兎さんのテストもそうだが、木兎さんが姉さんに甘えていることにある。

「なあミオ〜! 数学教えてくれ!」

木兎さんは姉さんに泣きついていた。
予想通りの展開に、ため息が漏れる。

「え、光太郎くん……仕方ない……」

「姉さん、甘やかさないでください。木兎さんも、甘えはよくないですよ?」

俺は姉さんと木兎さんの間に割って入る。木兎さんは俺をジト目で見てくる。そんな風に見ても、俺は折れませんから。

「で、でも、京治……」

「姉さん、木兎さんのためですから」

ピシャリと言えば、木兎さんも姉さんも諦めたようにため息をついた。




そうして姉さんの力を借りずに、木兎さんはがむしゃらに勉強をしていた。その甲斐あって、木兎さんは再試で赤点を免れたようだった。

「赤葦! 見ろ、俺の実力だ!」

自信満々に再試のテストを部活仲間に見せて回る木兎さんは子供っぽいと思う。
でもまあ、確かに姉さんに頼りたいのを我慢して頑張ったのは木兎さんにしたら凄いことだ。

「姉さん、木兎さんにごほうび、あげてもいいんじゃない?」

「京治? ……甘やかすなっていったのは京治でしょう?」

姉さんはクスリ、笑ったけど、何分木兎さんは手が焼ける人なのだ。
たまのご褒美もあげなければと思う俺の気持ちも察してください。



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千明さまリクエストです。
木兎くんで「うまくやってください」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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