誕生日だから


誕生日だから




12月5日、天気は晴れ。
冬らしい高い青空のその日、俺は誕生日を迎えた。

「えっ、初耳なんだけど!?」

「だって教えていませんから」

放課後、部活を終えて恋人のミオさんの大学まで迎えにいけば、話の流れで俺の誕生日の話題になった。
まあ、木兎さんたちからもらったプレゼントを鞄にパンパンに詰めていれば、ばれないわけがないのだけれど。

ミオさんは大層なショックを受けたと言わんばかりに頭をうなだれた。

「ミオさん」

「……」

「ミオさん!」

がっ、と肩を掴み揺らしたところでようやくミオさんは我に返ったように俺を見た。
うっすら目には涙がたまっていて、罪悪感にさいなまれた。

「私、京治の誕生日に何もできないなんて、彼女失格だよ」

じわじわと涙が目にたまっていく様子にたじろぐと同時に、可愛らしいと思ってしまった。

「それならミオさん。俺、欲しいものがあります」

「えっ、ほんと? 何でもあげるよ?」

ミオさんは顔を明るくし、食いぎみに答える。

「"ミオ"って呼ぶ権利をください」

「え、京治……?」

「それから――」

ミオは目をしばたたかせて首をかしげている。
訳がわからないのだろう。だけどこういうタイミングじゃなきゃ言い出せないのだ。

そうして俺は、目を真ん丸にする恋人の唇にキスをする。

「それから、誕生日なので、キスしたいです」

「"したいです"って、もうしてるじゃない……!」

からかったわけじゃない。
どうしたって歳上のあなたには敵わないのだから、誕生日くらい、あなたを翻弄したかったんです。



――――――――
赤葦くんhappy birthday!


161205