反省
反省
その日はどうかしていたとしか言いようがない。
私は黒尾の誘いで合コンに参加してしまったのだ。しかも問題はそれだけじゃない。黒尾にお持ち帰りされたことが最たる問題なのだ。
なぜなら私には光太郎という歴とした彼氏がいるのだ。
「ミオ、本当なのか?」
そうしてその話は光太郎の耳にも届いてしまう。問い詰められても答えることなんかできるはずがない。
黙り混む私を見て、いくらにぶい光太郎でもことを理解したようだ。大きなため息をつき、私に言った。
「別れる」
「え? 待って光太郎」
「別れるったら別れる!」
「光太郎、ごめんって。ごめん――」
それでも光太郎が考えを改めることはなく、私たちは別れるに至ったのだ。
だけど私はどうしても光太郎を諦められなかった。
こうなったらどんな手段を使っても、もう一度光太郎と話をしなければ。
「雪絵ちゃん、かおりちゃん」
まずはバレー部のマネージャーの雪絵ちゃんとかおりちゃんに相談した。
「あ〜……赤葦ならなんとかできるかもね〜」
「確かに。最近木兎調子悪いからなあ」
二人のアドバイスに則り、私は赤葦を訪ねることにした。
放課後の体育館を訪ねれば、すでに赤葦がストレッチをしていた。木葉や小見や猿杙もいた。
「げ、霜月」
「げってなによ、木葉」
「どうせ木兎のことだろ?」
「分かってるなら話は早いや。ねえ、助けて?」
私は大袈裟に顔の前で手を合わせて頼み込む。木葉や小見はあからさまに顔をしかめた。赤葦はいつもと変わらない表情だったけど、内心であきれているのは何となくわかった。
「だいたい、霜月さんが無防備過ぎるのが悪くないですか?」
「うっ、そんなにはっきり言わなくても……後悔してるし反省もしてるんだよ!?」
「……まあ、木兎さんもへこんでますけど」
「光太郎が?」
赤葦はあきれながらも真摯に私の話に答えてくれた。
光太郎がへこんでるなんて、悪いことをしたなと改めて思いしる。
「なんとか俺たちで時間作らせるから、仲直りしろよ。俺たちのためにも」
木葉はなんだかんだお人好しだ。頼もしい彼らに望みを託し、私は光太郎の部活が終わるのを待つことになった。
いざ、赤葦たちに呼ばれて体育館に行けば、光太郎は私を見るなり顔をそらした。やっぱり嫌われてる。
涙がこぼれそうになったけど、どうにかこらえて私は光太郎に近づく。
「何だよ。赤葦たち使うなんて卑怯だろ」
「……! そう、だね。卑怯かもしれないけど……」
「浮気するようなやつとはもう会いたくない」
「それは……反省してる」
私は光太郎の目の前まで来て足を止める。光太郎は相変わらず私から顔をそらしたままだったけど、私から逃げたりはしなかった。
「私、それでも光太郎が好き。だから、許してとは言わないから、もう一度チャンスを……ください」
都合のいい言葉だというのは自分がよくわかってる。
それでも私にとって光太郎は特別で、だから今度こそまっすぐ向き合いたいのだ。
光太郎はあー、とかうー、とか言いながら迷ったあと、私を強く抱き締めた。
「今回だけな」
「光太郎……」
「だけど今後は黒尾と会うのは禁止。他の男も。それから出掛けるときは俺に報告すること。それから――」
ぎゅうっと彼の手に力がこもる。見上げた光太郎の顔は笑っていて、私はもう二度と過ちをおかすまいと誓ったのだった。
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三周年企画。
木兎くんにフラれて仲直りするお話。
企画参加ありがとうございました!
170424