心の内に在るのは(「
女の子なんだから」続き)
心の内に在るのは
何でかわからないけれど、どうやら俺は霜月と縁があるようなのだ。今日はたまたま中庭を横切る必要があって、そしてそんな中庭に霜月は居たのだった。しかも女の子から告白をされていた。前にも見たことのある光景だ。霜月はそれだけ女の子にモテる。霜月だってじゅうぶん女の子らしいと思うんだけどな。
「ミオ先輩、好きです!」
「えっと……」
いくら霜月が男子よりも男子らしい見た目で、運動神経がよくて優しい、つまりは王子さまのような存在だとしても、女の子同士で付き合うことはそうそう無いことだろう。
今日もきっといつも通り笑い飛ばすように断るのかと思って、俺は悪いと思いながらも霜月の告白の行く末を中庭の影から見守った。
告白をされるのは何回目かもわからない。とは言っても、それらは全部同性である女の子からのものだけれど。
あいにく私は女の子と付き合いたいと思ったことはなく――というよりも、今現在に限っては、好きな人がいる訳だから、この告白をどう断るか少しだけ迷っていた。
「ミオ先輩、好きです」
「えっと……」
いつものように笑って明るく断れなかった。正直に在りたかったのだ。もとより、私は嘘が下手だ。
「私、好きな人がいるから。ごめんね」
「えっ……」
「ごめん。ごめん……」
私らしくない声だと自分でもおかしくなる。いつもとは違う私の笑顔は、私なんかより今目の前にいるこの告白をして来た女の子の方が驚いたようだった。
「頑張ってください」
健気にも彼女は私を励ます言葉を紡ぎ、笑顔で私の前から去っていく。
昼休みの中庭には私以外は誰もいなくなった。
「はー――」
「霜月」
「えっ!?」
誰もいなくなった、はずだった。なのに、私の後ろから私の名前を呼ぶ人がいた。この声には聞き覚えがある。というか、聞き間違うはずがない、なぜなら――
「赤葦さん。いつからいたんです?」
「ごめん、割りと最初から」
「うわあ、恥ずかしい」
そろりと振り返る。のち慌てて視線を赤葦さんから斜め右下に移した。このまま赤葦さんを見ていたら、心を読まれそうな気がしたからだ。
「好きな人いたんだ」
「え? あー。はい。いますよ、一応……私に好きな人がいるなんて可笑しいですよね」
そうだ、私らしくない。私は見た目もボーイッシュだし、友達も男の子が多いし、よく男子の部活の助っ人を頼まれるし。数えたらきりがない。そんな私が恋だなんて。
「可笑しくないよ。……霜月に好かれるなんて、幸福者だよね」
「……そうですか?」
「うん、そう思う」
泳がせていた視線を再び赤葦さんに向ける。相変わらず赤葦さんは何を考えているのか読ませてくれない。だけど赤葦さんはいつだって真剣で真面目で、だから私は――
「私も、その人の傍に居るだけで幸せなんです」
だから私は、あなたを好きになった。
私の心の内に在るのは、私が好きなのは、紛れもなく今私の目の前で微笑んでいるあなたです。
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穂香さまリクエストです。
赤葦くんで「
女の子なんだから」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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