恥ずかしい、うれしい
恥ずかしい、うれしい
「ねーね、ミオちゃん、岩ちゃんとはどうなの? ねえ、やっぱりイイの?」
部活の休憩中のことだった。
ぐいぐい、と私に詰め寄る及川くんに私はじりじりと距離をとった。
私はここ青葉城西でバレー部のマネージャーをしている。
それにはわけがある。
それは、先ほど及川くんが言っていた彼、岩ちゃんこと岩泉一くんにある。
彼は私の恋人である。
最初は及川くんに臨時でいいから、とバレー部のマネージャーに誘われ、そこで私は一くんと初めて出会い、一くんのほうから告白され、付き合い始めた。
ついでといっては何だけど、そういう流れでマネージャーも引き受けるにいたった。
だけど、だ。
私たちの関係を知るや否や、及川くんは毎日のようにこうやって私にかまってくる。
「及川くんさ、あの、私、何かしたかな?」
おずおずと聞けば彼はにぱっと満面の笑みを浮かべ、言うのだった。
「ぜーんぜん。何もないよ?」
心底うれしそうな悪笑みに、私はため息しか出ない。
何がそんなにおかしいのだろうか。
「でさ〜、ミオちゃん、実のところ岩ちゃんとはどうなの?」
「〜〜〜! だから、やめてよ……」
私が心底困ったようにしていたとき、一くんが及川くんの前に立ちはだかる。
「及川、お前な、いくらお前でもミオをからかったりすんのはゆるさねえかんな!? ミオは俺んだし、俺がミオを好きなの知っててやってんだよな?」
ぽかん。
及川くんをはじめ周りにいた部員も言葉を失っていて、私だけが一くんの影で独り顔を赤く染めていた。
「はー、あっついねえ……」
及川くんはそう、ぽつりとつぶやくと、何事もなかったかのように練習へと戻っていった。
ほかの部員も、一くんも、何事もなかったかのように練習を始める。
私だけが独り、その場に取り残されてしまって、その日私がマネージャー業に身が入らなかったのは言うまでもない。
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90万ヒットリクエストより。
「及川くんにからかわれている彼女にムカッとしちゃって、青城バレー部の前で恥ずかしいことを言っちゃう岩泉くん」
岩泉くんならやりそうです。萌えました
151021