やなやつ
やなやつ
くあ、と大きな口で欠伸をすれば、私の隣の席の国見が私をジト目で見るのがわかった。
「ミオ……がさつ……」
「は、はあ!? なに国見!?」
授業中ということもあり、彼から小さく吐かれた言葉に私は先生にばれないように国見に言い返した。
「はー、だからさ。あからさまに欠伸するなよ。しかも女なのに恥じらいなさすぎ……」
国見は私を見てまた小さく息を吐いた。
ぐぬぬ、女なのにとか、普段女の扱いしないくせに。
私はそのまま言い返すのをやめた。
同じクラスの国見英は、能ある鷹タイプだと思う。いつもはのんびりというか本気を出さないように見えるけど、ここぞというときにはなんていうかこう……。
ぶっちゃけかっこいいわけだ。
それを知ったのは彼のバレーの試合を見に行ったときだった。
試合の終盤も終盤、みんな疲れ果てているときに、国見は一人、点を稼いでいた。
それはきっと偶然とかじゃなくて、国見はこういう事態に備えて体力を温存していたのだと知ったときには私はすでに彼に恋に落ちていた。
「はー。私……かわいくない、よなあ……」
放課後になり私は誰もいない教室で机に突っ伏した。
もし、もしも最初から国見が好きだったら、もっと彼の前でかわいい子を演じていたのに。
私はいいとこ悪友って所だろう。
ああ、ほんと、女の子らしさとかかわいさが欲しい。
まあいまさら国見への態度を変えたところでもう遅いのだけれど。
「あー、私のばかー」
「なに? 自覚あったの?」
「ふぇ!?」
頭上に聞こえた声に私は顔を上げる。
そこには国見がいた。
え、まって。聞かれた? 聞かれてないよね?
「国見、いつからいたの……?」
「べつに。さっき来た」
国見は私の隣の席に腰掛けると天井を仰ぎながら言葉を続けた。
「まー、俺はミオがいまさらかわいいくなっても、俺の気持ちは変わんないから」
「うん、そうだね」
私は空返事をした。
「はー。ミオはほんと鈍いね」
「なに、え?」
気づいたときには私は国見に抱きしめられていた。
え、え? なに? なにが起きてるの?
「国見……?」
「だからさ、好きだっていってんの」
見上げた彼の優しい笑顔に、私はそのまま動けなくなった。
かっこいい。
そんな私を見て国見はくつくつと笑った。
「やっぱ鈍いね?」
かっこいいだなんて、前言撤回。
やっぱりこいつは、やなやつなんだって思った。
――――――――
90万ヒット企画より。
「大好きだから!」
「国見ちゃんが好きだから」
国見くんへの愛が伝わりました…!
151021