私と国見には壁がある。
隣の席になったとき、私は国見に、よろしく、と挨拶をした。だけど国見は、挨拶を返すどころか、私の方を見ることさえせず、そのまま席をたってどこかへ行ってしまった。
それからずっと、仲が悪い。

「はい、及川さん。ドリンクです」

そんな私は、バレー部のマネージャーをしている。

「はいこれ……」

私は国見に押し付けるようにドリンクを渡す。
私はマネージャー業の最中でも、国見には笑顔を向けることはない。



「国見ちゃん、また痴話喧嘩?」

部活の休憩時間、及川さんがにやにやという。
俺は表情を変えずにそれを否定する。

「痴話喧嘩というか、霜月が一方的に怒ってるだけですよ」

そうなのだ。
霜月はいつも俺に対して怒っている。
いつからだったかは分からない。気づいたら霜月は俺に対して怒りを持っていた。




「あ」

「あっ」

部活を終えての帰り道。
売店で塩キャラメルを買おうとしたら、誰かの手とぶつかる。

霜月の手だった。
ちなみに塩キャラメルは最後の一個だった。

「私要らないや。国見が買えば」

「……俺も要らない。霜月が買いなよ」

どちらも意地になっていて、押し問答になったとき、売店のおばちゃんが打開策を提案する。

「半分こしたらいいじゃない」

仕方なく、はんぶんこすることで二人とも納得する。

だけど。

「私が払うから」

「いや、俺が払うよ」

どちらも互いに奢られるのを拒んでしまい、結局揉め事は収まらない。

「なんだかんだ、国見ちゃんとミオちゃんって仲いいよね」

「だな」

三年生のやり取りなんて俺たちは気づかない。
俺と霜月の壁がなくなることはないのだ。



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千明さまリクエストです。
国見くんと喧嘩ばかりの夢主です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!


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