頑張る君が

頑張る君が



矢巾は青城の新部長だ。及川さんにあとを託されてから、毎日悩みながらも頑張っている。
私はマネージャーとしてそんな矢巾を支えている。つもりだ。
一生懸命な矢巾はかっこよく、私はいつからか矢巾が好きになっていた。

「矢巾、まだまだ頼りないな〜」

「うるせえよ霜月」

だけど私は素直じゃないから、彼の前で冷たくしてしまう。あるいは女の子らしく振る舞えない。
今日もそんな自分に嫌悪いていた頃、

「あ、ミオちゃん」

「及川さん? 部活引退したのにどうしたんです?」

「俺はスポーツ推薦で大学決まってるからね。今日一緒に帰らない?」

「……? いいですよ」

及川さんはバレー部時代からよくしてもらっていた。
いつも女の子に囲まれていて、だけどバレーには一生懸命な彼は、すごく魅力的なひとだと思う。

「なんだよ霜月、及川さんと楽しそうにサボってんなよ」

「さ、サボってないし。なにピリピリしてるの」

「してねえよ」

いやに今日は矢巾が私に突っかかると思ったが、それが何でかなんて私には検討もつかなかった。

そうして練習が終わり及川さんと帰路を歩けば、

「俺、ミオちゃんが好き」

及川さんの言葉に動揺を隠せなかった。確かに及川さんにはよくしてもらったけど、だけど私は及川さんを好きだと感じたことはない。私が好きなのは。

「すみません。私、矢巾が好きなので」

断り、なぜだか来た道を引き返していた。居残り練習をしているであろう彼に気持ちを伝えるために。




最初は単なるマネージャーとしてしか見ていなかった。いつからだろう、異性として意識するようになったのは。

「くそっ」

部活終わりの自主練には最後まで残ったものの、平常心じゃない俺はミスをしまくりだった。
霜月が今、及川さんと二人きりだと考えるだけでイライラが募る始末だ。
もう練習しても身にならないと部室へ向かう。そして誰もいない部室の椅子に座り、一人でうつむいていた時だった。

「矢巾!」

「は?」

及川さんと帰ったはずの霜月が部室の入り口にたっていた。訳がわからず立ち上がり霜月を見る。

「何しに来たんだよ」

「うん、好きな人に告白に来たんだ」

「は……?」

つまりそれは、もしかして俺のことなのだろうか。

「私、矢巾が好きなんだよ」

「え、待って意味が……」

「チャラそうに見えるけど、一生懸命で優しくて一緒にいると優しくて、頑張る矢巾が好きだよ」

霜月は一息に言い、笑う。
どうしていいのか一瞬戸惑い、

「俺……霜月に冷たくしてたけど。俺も霜月が好きだ」

「ほんとに?」

「嘘ついてどうすんだよ」

信じられないのはお互い様だ。
じわじわと霜月の言葉が実感に変わる。それは霜月も同じだったらしく、ゆっくり俺のそばまで歩くと、頬にキスをした。



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200万hit企画。
柚希さまリクエストです。
矢巾くんとすれ違いからのハピエンです。
企画参加ありがとうございました!


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