バースデイ


バースデイ



「そういや今日ってスガさんの誕生日だよな?」

昼休み、田中が不意に言った言葉に、私は軽いパニックに陥った。
え、知らなかったんだけど。
言いたくても私は言葉を飲み込んだ。

私がなぜこんなに動揺しているのかと言えば、私が菅原さんを好きだからだ。
ちなみに私の気持ちを田中は知らないが、なぜこの絶妙なタイミングで言ってくるのか。
もしかしたら田中には私の気持ちは筒抜けなのだろうか。いや、そんなはずはない。田中がこういうことには鈍いのは私がよく知っている。

「へ、へー。そうなんだ」

無難な返事をしたものの、私は内心焦っていた。どうしよう、プレゼント用意してない。
好きな人の誕生日を把握していないなんて、私は一体何をしていたのだろうかとため息しかでなかった。



「あれ、霜月じゃん」

放課後の部活前、私は菅原さんの教室を訪ねた。
菅原さんは手に一杯のプレゼントを抱えていた。
やっぱ、人気あるんだな。

「あの、先輩、お誕生日おめでとうございます。あの、プレゼント用意してなくて……」

「ありがとう。んー、じゃあさ、霜月。プレゼント、リクエストしていい?」

菅原さんは何かを考えたかと思うと、次には優しく笑って私にとんでもないことを言った。

「霜月の恋人になる権利。くれない?」

「す、すが、わ……先輩!?」

頭が真っ白になる。相変わらず菅原さんは優しく笑っている。

「あれ? 霜月って俺のこと好きだと思ってたんだけど、気のせいだった?」

ああ、お見通しだったのか。
私はようやく首を動かして縦に振ることしかできなかった。



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菅原くん、happy birthday!


160613