気付かない

気付かない



「好きだ、霜月」

「えっ……」

朝練終わりに通りかかった体育館裏。
おいおい。何でこんなとこでこのタイミングで告白してんだよ。しかも相手がミオと来た。

「ご、ごめんなさい……」

ミオはそう断ったけど、俺はなんだかイライラした。



「ミオ、これやるよ」

その日の放課後、ミオに"あるもの"を手渡せば、ミオは首をかしげながらそれを受け取った。

「なに? て、ひぁっ!」

受け取ったそれを見るや否や、ミオはそれを手から捨てる。

「や、やだ。だんごむし!? 堅治?」

「ははっ、騙されんのが悪ぃよ、バカミオ」

鼻で笑えばミオは目に涙を浮かべて俺をにらむ。

「バカ二口! 知らないっ!」

そしてミオは教室を走り出た。

「なにやってんだ、俺」

誰に言うでもなく呟いた。



だけど、だ。

「ミオちゃん、泣かないで?」

部活にいけば、何故だかミオは茂庭さんに泣きついていて、青根までもがミオを慰めていた。
こいつ、わざとなんじゃねえの?

「霜月……」

タオルを渡す青根に、ミオは小さく笑う。なんだよ、なんなんだよ。

「茂庭さん、ありがとうござい、バカ二口!」

「この、バカミオは……」

ミオは俺に気づくと嫌そうな顔をした。何だよ、茂庭さんにはなついていても、俺にはそんな態度なのかよ。俺の気も知らないで。

「おっ、二口来たか」

鎌崎さんたちがにやにやしていたけど、そんなの俺には関係なかった。

「バカ二、口、んぅ?」

俺は気づいたら茂庭さんからミオを引き離し、そのまま唇を塞いでいた。
ミオは目を見開いて言葉を失っていた。

「バーカ。鈍感。好きだ、ミオ」

いつもの嫌みはかえってこない。ほんと、こいつは鈍いやつだ。周りの先輩の囃し立てる声も、どこか遠くに聞こえるだけだった。


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千明さまリクエストです。
二口くんで、告白されるのを見てイライラして意地悪、茂庭くんに助けを求めて公開告白です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!


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