噛み合わない

噛み合わない



ミオと付き合いはじめてしばらくたつ。
幼馴染みのミオは二つ下の女の子だ。
別段恋愛感情を抱かずに、なんとなく付き合い始めた。
それでも関わるうちにいつしか恋をしていた。

「ミオ、お疲れさま。少し待ってて。もうすぐ部活終わるから」

「要……うん。わかったよ」

だけど俺は、ミオに自分の気持ちを伝えられずにいた。
そうしたジレンマから、ミオが誰かを好きにならないかと、不安と嫉妬にさいなまれる毎日だ。

それでも俺は、嫉妬や不安を表に出すことはなく、いつも気持ちを殺して、笑顔で接するのだ。




要が好きだ。
最初はなんとなく付き合い始めたはずだったのに、いつのまにか幼馴染み以上になっていた。
要は私をどう思っているんだろう。

「要……お疲れさま」

いつも笑顔を崩さない要は、もしかしたら無理をしているのかもしれない。最近はそればかり考えてしまう。

「要は、無理して笑ってるの、かな? ほんとは私のこと、嫌いなんじゃないのかな?」

部活終わりの要に、気づいたら本音をぶつけていた。言ってて自分で苦しくなった。

「ミオ、俺は……」

要はおろおろとうろたえる。なんだ。"違うよ"って、言ってくれないのか。
気づいたら走り出していた。




ミオに言われた。無理して笑ってるの、と。ほんとは嫌いなんじゃないのか、と。
違うんだ、そんなことは絶対にない。

むしろ俺は、ミオが好きだというのに。

だけど言葉が出てこない。業を煮やしたミオは、俺の前から走り去った。

「あーあー、茂庭さん、霜月追いかけないんすか?」

「……そんな資格、ないよ」

力なく言えば、二口のため息が聞こえる。

「まあ、あれっすよね。霜月が他の男に盗られても、今なら文句は言えませんよね」

突き放すような言い方だが、これは二口なりに励ましているのだろう。
俺はミオをおって走り出していた。




ミオの家までの途中にある公園に、ミオはいた。

「ミオ!」

「か、なめ……」

ミオは俺に気づくと目をごしごしと擦る。泣いていたのか。

俺はそっとミオを抱き締めた。

「要?」

「俺、ミオが好きだよ。だから心配で不安でたまらなかったんだ」

素直に言えば、俺を見上げるミオがはにかむように笑う。

「私も要が好き」

ああなんだ。お互いに気持ちが噛み合わなかっただけなのか。
俺は柔らかく笑うミオに口づけた。




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優希さまリクエストです。
茂庭くんで、切甘からのハッピーエンドです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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