誰が好き
誰が好き
俺には恋人がいる。その恋人は、俺の後輩の幼馴染の一年生だ。
「おお、ミオ、また小さくなった?」
「堅治、またそういう意地悪いって!」
恋人のミオは二口ととても仲がいい。
幼馴染なのだから当たり前だけど、それでも俺はわからなくなるのだ。
本当はミオは、二口が好きなんじゃないかって。
「あ、要くん! お疲れさま!」
「うん、ミオ。もう少し待ってて」
それでも俺は、ミオに真偽を聞く勇気もなく、誤魔化す様に笑ってミオに接するのだ。
要くんは、優しい。
付き合い始めてずいぶん経つけど、いつだって彼は笑顔で私に接してくる。
だけど、それがどこか無理をしてるように感じるようになった。
彼はどこか、私に遠慮しているような気がしたのだ。
「ミオ?」
「あ、ああ。要くん……」
部活終わりの体育館。
要くんを待っていた私は、どこか上の空だった。
「ミオ、何かあるなら言ってよ?」
要くんの言葉になぜだか腹が立った。
要くんは、私に遠慮して無理して笑ってるというのに。
気づいたら、言葉が出ていた。
「要くんって、何か私に遠慮してるよね。無理して笑ってるし。私のこと、信用してない証拠じゃない……」
言ってて涙が出た。
そんなこと、思ってもいないんだ。ただ私は、不安なだけなのに。
いたたまれなくなって、その場を走り出していた。
ミオに言われた。
遠慮して、無理して笑ってるんじゃないかと。
確かに俺は、どこかミオに遠慮していた。
ミオは二口が好きなんじゃないかって、いつもいつも不安だったのだ。
「あーあー。茂庭さん、ああなったらミオはちゃんと説明しないと機嫌直しませんよ?」
「いいんだよ。どうせ俺なんか……」
俺の言葉に、二口は大きく息を吐いた。
「茂庭さん、ミオが俺と仲良くするの、気にしてるでしょ?」
「そんなわけ……そんなこと……」
図星だったため、言い返す言葉を失う。
二口は変に勘が鋭い。
黙り込んだ俺に、二口は大きく息を吸って言う。
「ミオって、俺に話するとき十割が茂庭さんのことなんですよね。だから茂庭さんは、もっと自信持ったらいいと思うんすけど?」
「二口?」
「ほらもう、ミオが好きなら追いかけてくださいよ! ミオも待ってますから!」
カラッとした言い方だ。本当に二口は、ミオに幼馴染以上の感情を持っていないようだ。
「サンキュ、二口」
俺は体育館を走り出た。
一年のミオの教室に、ミオはいた。
「ミオ!」
「……! 要くん?」
泣いていたのだろう、ミオの目は真っ赤にはれている。
俺はミオに近づき、そっと抱きしめた。
小さい体は、俺の腕にすっぽりと収まる。
「俺、ミオが好きだ。だから、不安だった」
「要くん……?」
ミオは俺を見上げて不思議そうに声を漏らした。
俺はミオをまっすぐに見て、続けた。
「ミオが二口と仲良くしてるから、その。二口が好きなんじゃないかとか、不安だったんだ」
「えっ? 違うよ! 私は要くんが好きで、堅治はただの幼馴染で……」
「分かってる」
いいや、わかってなかった。
ミオの口からきくまで、本当は信じられなかったんだ。
でもね、ミオ。ミオの言葉で、俺はこんなにも温かい気持ちになれた。
大好きなんだ。
「ミオ、ごめんね。でも俺、ミオが大好きだから」
言えば腕の中のミオは、顔をほころばせるのだった。
誰が好き、だなんて、迷うことなかったんだ。
俺はミオが好きで、ミオは俺が好き。
ただ、それだけのことなんだ。
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優希さまリクエストです。
茂庭くんで、二口くんの幼馴染彼女と切甘です。
期待に添えたか分かりませんが精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
161011