人の気も知らないで

人の気も知らないで



年に一度のイベント、クリスマス。
今年こそは好きな人と過ごしたいと思いつつ、毎年毎年なにも行動を起こさない。
好きな人が居るにも関わらず。

「なんだよ霜月、ぼーっとして」

「うるさいなー、二口には関係ないでしょ」

そしてその、好きな人に対して私は素直になれないもんだから、関係が発展するはずもないのだ。

「変なやつ」

「うるさい二口!」




そんなクリスマス間近なある日、私はある噂を聞いてしまった。
二口が舞ちゃんと付き合ってる。
そんな、噂。

確かに舞ちゃんと二口には接点がたくさんある。舞ちゃんはバレー部のマネージャーだ。
私もマネージャーだけど、二口と舞ちゃんは仲がいいのは目の当たりにして来た。

「霜月、ちょっといいか」

「……二口……」

そんな噂を聞いたものだから、私は二口にどう接していいか分からなくなっていた。
放課後の教室には私と二口の二人きりだ。

気まずくて、私は心にもないことを言っていた。

「二口、舞ちゃんと付き合ってるんでしょ? お似合いじゃん。ってか、舞ちゃんなんかもったいないよね」

ずきずき。胸が痛む。だけどそんな私よりも、二口の方が痛そうな顔をしていた。

「なんでお前がそんなこと言うんだよ!? 俺のことなんとも思ってないんだな!」

「っ!?」

二口は私を怒鳴り、何かを投げつける。
かつん、と私に当たった小さな箱が床に落ち、二口は教室から走り出ていた。

私は床に落ちた箱を拾う。
それは、なかなか手に入らないことで有名なネックレス。私が欲しがっていたネックレスだった。

しばらくぼーっとしていれば、舞ちゃんが教室に戻ってきて私に言った。

「あーもう。二口ね、ミオちゃんが好きだから私に相談してたんだよ。それで一緒にネックレス買いに行ったんだけど」

舞ちゃんは誤解を解くように言う。
聞くや否や、私は走り出していた。



中庭に二口の姿を見つけた。
空から雪が降っていて、二口は空を見上げていた。

「二口!」

「……」

叫び、歩み寄る。
二口は私をじっと見ていたけど、なにも言わない。

「傷つけてごめん。今さらだけど私、二口が好きだよ」

「……馬鹿。馬鹿じゃねえの……」

ばか。言いつつも顔は穏やかで、二口は私を抱き寄せた。

「お前ってほんとに鈍いよな」

「ごめん」

「人の気も知らないで。好きだ、ばか」

見上げた二口の唇が、私のそれに重なった。



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柚希さまリクエストです。
メリークリスマス!


161206