違和感

違和感



ある日の昼休み、いつもの教室。だが俺は、いつも通りでないものを見つけた。

「霜月、何かあったか?」

同じクラスの霜月ミオ。あまり関わりのない人間だが、今日の彼女の様子には違和感を感じた。無理をして、笑っていると感じた。

「え、牛島くん? 何もないよ?」

霜月はそれでも誤魔化すように俺に笑顔を向けた。やはり、いつもとは違う笑顔だった。

「なぜ無理して笑う? 相談があるなら乗るぞ?」

「っ! 牛島くん……」

霜月は一瞬だけ戸惑いを見せたが、次には睨むように俺を見上げる。

「……同情とか、やめてよ」

「? 同情などしてないが?」

何を怒っているのだろうか。俺には皆目見当がつかない。

「相談があるなら乗るぞ?」

「っ、牛島くん……」

やはり霜月に感じた違和感は間違いではなかったようだ。
霜月はうつむきながらも小さく頷いた。

「放課後でいいか?」

「う、ん」





「若利が相談?」

「ああ。瀬見、なにか可笑しいか?」

放課後になり、部活の仲間に少し遅れることを伝えれば、皆が皆、俺に怪訝な目を向けた。そんなに可笑しいだろうか。

「若利くんって、その子が好きなの?」

天童がさも面白そうな顔をして俺を見る。何が面白いのだろうか。

「いや。ただ、違和感を感じただけだ。では、またあとで」

そして俺は、教室に待たせている霜月の元へと歩いていく。




「待たせたな。それで、何に悩んでいる?」

「あっ、うん……あのね。うちの両親が……離婚、するんだよね……」

霜月は目を伏せる。その目には涙が溜まっているように見えた。

離婚。

霜月にとってはそれが悲しいことなのか。

「うちの親も離婚しているが、そんなに悲しいものか?」

「えっ? あ、ごめん牛島くん……」

霜月は驚き俺を見上げるとなぜだか謝ってきた。なぜ謝る?

「? なぜ謝る?」

「だ、だって、牛島くんの辛い過去を話させちゃって……」

霜月はまた、目を伏せる。辛い? 俺が?

「俺は辛いと思ったことはないぞ? 父は今でも誇れる人で、母ともうまくやっている。何が辛いことがある?」

「っ! だって、なかなか会えなくなるじゃない……」

霜月の声が震える。会えないと、何があるのだろうか。

「会えないと、親が親じゃなくなるのか? どこにいようが、親子の縁とは、切れないものだと思うが?」

「! そう、か。そうだね。牛島くんは強いね。うん、少し元気出た」

霜月は俺を見上げて笑って見せた。それはいつもの霜月の笑顔だった。

「それで、霜月の悩みとは、何なんだ?」

聞けば霜月はポカン、と口を開いていたが、やがて腹を抱えて笑いだした。

「牛島くんには敵わないな」

何がおかしいのか、何で敵わないなどと言うのか、俺には分からなかった。



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千明さまリクエストです。
牛島くんで、無関心に見えても実は夢主を見ていて、いつも笑顔だった夢主が無理して笑ってるのにいち速く気づいて自然と声をかけるお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!



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