硬派な彼

硬派な彼




硬派で冗談が通じなくて、よくわからないひと。
それが彼の第一印象。
それでも私は知ってしまった。彼の内にある熱いものを。


白鳥沢バレー部の牛島くんは、主将でエースで世界ユースだ。
そんな彼と私は同じクラスで、たまたまバレー部マネに誘われたのが縁で話すようになった。

「霜月、明日の練習メニューだが」

「うん、できてるよ」

大体が事務的な会話。それでも時々彼は他愛ない話もしてくる。

「この前転んだ傷は治ったか?」

「あっうん、治った」

この前とは、私が洗濯物の重さに負けて転んだときのことだ。
なんだかんだ、目をかけてくれていて嬉しかった。

「ところで霜月、俺と付き合ってほしい」

「え? ええ?」

なんで?
なんでこのタイミングで告白?
私がしどろもどろしていたら、牛島くんは首をかしげて言うのだった。

「今度、バレーシューズの買い出しに付き合って欲しいんだが」

ああ、そういうことですか。ですよね。自分が恥ずかしい。

「おっけー。付き合うよ」

軽い気持ちで答えたけど、後に私は知ることになる。
この告白は二つの意味を含んでいたことを。

ひとつは、本当にバレーシューズの買い出しに付き合って欲しいというもの。
そしてもうひとつは、恋人になって欲しいというもの。

曰く、一緒に買い物に行くのはどう考えても付き合ってる男女がすることだろう、だそうだ。



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