逃げる

逃げる



私は廊下を走っていた。
先生に見つかったらどやされるとか、今はそれどころじゃない。

誰もいない教室に入り、息をつく。

「ここまで来れば、安心だ……」

秋だと言うのに私は汗だくだ。

私が何から逃げていたかと言うと、それは恋人から逃げていたのだ。

「私のばか……」

私と彼は付き合い始めたばかりで、だけど私はどうしても彼と顔を会わせるのが恥ずかしくて逃げてしまう。

「はぁあ……」

教室内でうずくまり、頭を抱える。
なんで私はこんなに意気地無しなのだろうか。




昼休みを終えて教室に戻る。
何気なく携帯を見たらたくさんのLINEが来ていた。全部英太くんからだ。

『今日こそ一緒に帰ろう』

その文字に、放課後、どう逃げようと頭を抱えた。




だけど放課後になるや否や、私の教室の外に英太くんが走ってきた。どうやら今回は逃がしてもらえそうにない。

授業が終わると、英太くんは教室に入ってきて、私の手をおもむろにつかむ。

「や、英太くん、恥ずかしい」

「だってこうしなきゃミオは逃げるだろ」

怒っているのだろうか。
恐る恐る見上げたら、ため息を吐かれた。

「たく。そういうところもかわいいって思っちまう俺も俺だけど」

だけど英太くんが私を怒るってことは今まで一度もないから、だから私はいつまでたっても彼から逃げてしまうのだ。

「今日は逃げんなよ」

「……は、ぃ」

今日は逃がしてもらえないみたいだけど。



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161207