怒ると怖い

怒ると怖い




賢二郎くんは口が悪い。
普段はすました顔で落ち着いた雰囲気だけど、怒ると怖い。

「ばーか。バカミオ。知らねえ」

「な……賢二郎くん? 私何かした?」

突然怒り出した賢二郎くんに、私は訳がわからない。
ふいっと顔をそらす賢二郎くんは、私の問いに答えてくれる気はないようだ。

「賢二郎くんなんか知らない!」

だんだん腹が立ってきて、私もつられて言い返す。
賢二郎くんは目を真ん丸にして驚いて、そのあと大きなため息をついた。

「なんだよ、お前が悪いんだろ」

「私が?」

「あーもう、そうだよ。お前がバレー部の先輩とにこにこ話してたから嫉妬したんだよ!」

やけくそだと言わんばかりに言って、私を抱き締める。
とくとくと聞こえた賢二郎くんの心音は少し早い。

怒っていた訳じゃないのかと安心したら、涙がこぼれた。

「なっ、ミオ泣いて……」

「だって、嫌われたかと思った〜!」

子供のようにわんわん泣く私を、賢二郎くんはいつもの冷静な口調であやすのだ。

「嫌うわけないだろ。ばかじゃないの」

少しの悪態をつきながら。



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