隣席の彼女
隣席の彼女
バレーがしたくてこの学校に入った。
白鳥沢学園高校は、バレーが強くて全国常連で、だけど俺は、スポーツ推薦でここに入った訳じゃない。
故に、勉強は人一倍頑張らなければならなかった。
「白布くん、さっきの授業なんだけど」
「なに?」
そんな俺に、最近話しかけてくる女子がいる。
隣の席の霜月だ。
彼女もまた、一般入試で入ったらしく、人一倍勉強を頑張っていた。
「ここ、わかった?」
「ああ、そこね。そこは――」
最初こそ面倒臭いと思っていたけど、最近はそうでもなくなった。
彼女がわからないところを俺が教え、俺がわからないところを彼女が教える。
win-winの関係に落ち着いたのだ。
「そういえば白布くん、部活はどう?」
「あー、まあそこそこ。ただ、もしかしたらレギュラー奪えるかも」
「ふうん」
霜月は最初、俺がバレー部だと知らなかったようだ。
バスケ部だと思ってた、確かそういわれた記憶がある。
バレーは確かにあまり知られた競技じゃないかもしれないけど。
だけどそのあと、霜月は時々練習を見に来てくれるようになった。
「すごいよね、白布くんは。文武両道」
「霜月は運動は苦手なの?」
「うーん、嫌いじゃないんだけどね」
えへへ、笑う霜月に、そういえば体育の時間が終わる度に霜月には擦り傷が出来ていたことを思い出す。
「運動音痴っぽいもんな」
「はは、情けない話です」
それでも、俺は知っている。
霜月はがんばり屋で、そう、何事にも一生懸命。
「今度また部活見に行くね」
「そりゃどうも」
俺は素直じゃないから、嬉しさを表現することも出来ない。
だって俺は、いつの間にか霜月に惹かれていたから。
それが何故だか悔しくて、だから霜月が俺を好きになるまで、自分から告白なんかしてやらない。
「霜月って鈍いよね」
「え? よく言われる!」
ほら、やっぱり。お前はそうやってぜんぜん気づかないんだよな。
170201