ゆめ

ゆめ



真昼の学校、雑踏の教室の真ん中で、それは発せられた。

「好きだミオ」

「えっ、まって瀬見」

「待たねえ」

あつい包容ののち、顔が近づく。
キスされる。私は抗うことなく目を瞑った。



がごん!
体が落ちる感覚に目を覚ます。ベッドから落ちたようだった。
つまり今までのは夢であり、私はため息をついた。

「欲求不満にもほどがある……」

私の夢に出てきた彼は、私が片想いをしているクラスメイトで同じバレー部だ。
彼を目当てにバレー部に入ったといっても過言ではない。

がっくりと肩を落とし、私は朝練へと向かうのだった。



その日の昼休み、瀬見に呼び止められた。
夢のことを思いだし、妙に緊張する。

「ミオ、今朝から変じゃねえ?」

「そ、そんなことないよ!」

見透かされてる。
それが私をさらに動揺させた。

「なあ、俺何かした?」

「してないよ」

「嘘。だったらなんで目ぇ逸らすんだよ」

「気のせいだってば!」

意地になって声を張り上げていた。瀬見は私を見下ろして眉を潜めている。

「なあミオ」

「知らない」

「聞けよ!」

がっと肩を捕まれて、私は逃げ場を失う。
その場にうつむき、瀬見の言葉を待つ。
どうせまた、怒られるんだろうな。

「好きだミオ」

「へ? えっ、まって瀬見」

「待たねえ」

重なる重なる重なる。
今朝の夢と現実が重なる。

周りの雑踏がさあっと音を潜め、私のすべての感覚は、瀬見によって持っていかれるのだった。



170207