女らしさとは
女らしさとは
女子と言えば、お化粧の話やかっこいい芸能人の話、それからお料理の話で盛り上がっているイメージが強いが、私はどうやらそういう一般的な女子とは違うようだ。
髪だって邪魔だからいつもショートだし、料理なんか興味ないから包丁も握れない、さらにはかっこいい芸能人にも興味もないし、お化粧だってしたことがなかった。
「霜月ってさばさばしてて男友達みたいだよな」
そう、誰かに言われたことがある。
確かに私は、女の友達よりも男の友達の方が多く、むしろ男友達との方が話題に欠かないほどなのだ。
「あれ、ミオチャン、まだ帰ってなかったんだ」
「なんだ天童か。帰っても家だとはかどらないからさ、宿題やっちゃおうかなって」
私は机に教科書とノートを広げ、天童の方を見ないでいう。
すると天童は私の目の前まで歩くと、机の上からノートを奪い取る。
「なにするの」
「べつに」
天童は私を見下ろしてにたりと笑った。
「用ないなら帰ってよ」
「ミオチャンってさ、女の子らしさ皆無だよね」
「急に何?」
言われてることが正しいのは分かっていても言い返さずにはいられなかった。
よりによってこいつには言われたくなかったからだ。
「だって、見た目も男っぽい、化粧もしない、料理もできない、可愛くない。それでお嫁に行けると思ってるの? いいとこなしじゃん」
「はあ? なんでそこまで言われなきゃならないの?」
「あれ? 自覚なかったの?」
「はああ?!」
天童は私の顔の高さにかがみこんで、私をまっすぐに見てくる。
私は天童をにらむように見て、言う。
「別に、お化粧しなくても料理できなくても、私の良さを分かってくれる人くらいいるし」
「へえ。そんなもの好きどこにいるの?」
「今はまだいないけど! そのうち現れるし!」
むきになって言い返せば、天童はさもおかしそうに笑いを漏らす。
何がそんなにおかしいのだろうか。腹が立って、私は天童の手からノートを奪うようにとる。
「私帰る」
「そう、ねえ、ミオチャン」
「……」
「俺、そういうミオチャンが好きだから、俺ってもの好きなのかもね」
「は……?」
手に持っていたノートを落としかけ、ハッとして我に返る。
天童はすでに私に背を向けて歩き出していたから、天童の表情は私からは見えない。
だけどこれは。
「天童のバカ、からかうのもいい加減にしてよ!」
だけどこれは、明らかなる天童の策略なのだ。
私は知っている、天童覚は人をおちょくるのが好きな人間だということを。
ゆえに私は騙されない。天童のこの言葉をうのみになんかするものか。
170210