世話焼きな先輩
世話焼きな先輩
瀬見英太は世話焼きだ。
後輩の面倒見がよく人望もあつい。なにより、話しやすい性格は、少なからず女子のファンを増やす要因に違いない。
「瀬見先輩、これあずかりました」
今日も今日で、バレー部のマネージャーである私は、ファンの子から瀬見先輩への差し入れを渡された。
私はそれを笑顔で受け取り、瀬見先輩へと渡しにいくのだ。
「ミオ、またかよ。断ってって言ってるのに」
「だって、かわいそうじゃないですか」
「はー、まあそうだけどよ」
瀬見先輩は頭をがしがしかきながら、私の手にある差し入れを受け取った。
マネージャーなんてなるんじゃなかった。
最近よくそう思う。
私がマネージャーでなければ、今日の女の子たちのように瀬見先輩に差し入れをできたのに。
外野からキャーキャーとなにも考えずに応援できたのに。
「ミオ、どうかしたのか?」
「いえ。私、マネージャーになるんじゃなかったかなって」
「え、それは困る」
「瀬見先輩?」
瀬見先輩は私の言葉を真に受けて、うーん、腕を組んで考え出す。
「ミオがマネージャーになってくれたから、俺はミオと出会えたし、これからも一緒に進んでほしいっつーか」
「瀬見先輩?」
「あー、うまく言えないけど、俺にとってミオは必要不可欠っつーか……」
「必要ですか?」
「もちろん! つーか俺、一生懸命なミオが好きだし」
「は? 好き?」
瀬見先輩はボソッと言って、私を置いて練習へと戻っていく。
え、待って。好き? 必要不可欠?
それはつまり、え。私は……?
いきなりのことに頭は追い付かず、だけど私は、勇気を出してマネージャーになってよかったと思いを馳せた。
170214