辛口彼氏

辛口彼氏



かわいくない後輩がいる。
その子は二年生でバレー部のレギュラーで、顔立ちも整っている。
一見完璧に見える彼は、ただひとつ欠点がある。
私に対して辛口の発言を繰り返すのだ。

「よいしょ」

「霜月先輩って立ち上がるときばばくさいですよね」

「ひどい! ていうかいつも見てるの!?」

「見てなくても視界に入るので」

またあるときは、ドリンクを飲んで一言、言う。

「霜月先輩のドリンクって粉が溶けてないですよね」

「えっ、今日はよく混ぜたのに」

「でも俺のは粉残ってます」

私は瀬見や牛島、天童に川西、五色にも確認したけど、みんなドリンクの粉はちゃんと溶けてると言っていた。
なんでよりによって白布のだけ溶けてないのだろうか。よりによって、この口うるさい後輩の分だけ。


またあるときは、タオルが生乾きだと言い、またあるときは、字が汚いとなじられた。

限界だ。

「霜月先輩、聞いてます?」

「っ、聞いてるよ! 私のダメダメなところばかり指摘して楽しいよね!? 私なんかマネージャーに向いてないよね!?」

八つ当たりなのはわかってる。
だけど自分がここまでどんくさいのかと思ったら、情けなくなった。
白布はなんでもスマートにこなすから、余計に私の粗が気になるんだろうな。
じわり、目に膜が張る。

「霜月先輩!?」

「白布にはわからないんだよ。私だって頑張ってるのに」

ぼた、ぼた。
ついに目からこぼれたそれに、白布は柄にもなく動揺していた。
なんでよ、笑えばいいのに。

「すみません、そんなつもりじゃなくて」

「じゃあなんで!?」

「本当にわからないんですか?」

「わかるわけない!」

私は泣きながら白布を見上げた。
白布のたじろぐ顔は新鮮だ。

「好きな子ほどいじめるってやつですよ」

「え……?」

つまりは白布は私が好き?
まってだけどそんな愛情表現、わかるわけない。
わかったとしても、そんな表現は嫌だ。

「俺、意地悪やめませんから」

「……!?」

まだまだ白布の辛口の発言は終わらないようだ。
きっと私が彼を好きになったとしても、彼は変わらないんだろうな。



170216