夢か現か

夢か現か




冬になると必ず風邪を引く。
決して虚弱体質とかそういうわけではないはずなのに、必ず風邪を引くのだ。

今日も朝起きたら悪寒と倦怠感があり、案の定風邪を引いていたのだ。

「ミオは弱いね」

「英太……移しちゃうから来ないでよ」

そして風邪を引くと必ず幼馴染みの英太がお見舞いに来てくれる。
英太はバレー部だから、風邪を移すわけにはいかないのだ。

「辛そうだな」

「平気。毎年のことだから」

「そっか」

今日の英太はいつもと違い静かだ。
例年なら「早く治せよ」って笑っているのに。

「俺もうバレー部引退したから、移されても平気なんだわ」

「あっ、ごめん」

忘れていた。
英太は先日部活を引退したんだった。
今日元気がないのはそのせいだろう。

「英太、でも風邪を移すわけには――」

「甘えとけって」

英太は私のベッドに腰掛け、私の額に手をのせた。
ヒヤリとしたそれは、なぜだか心地いい。

「熱いな」

「英太の手が冷たいんだよ」

「なあ、ミオ」

「うん?」

冷やされた額が気持ちよくて、意識が切れ切れになる。

「バレー部も引退したし、付き合おうか」

英太のこの言葉が現実のものか夢の中のものなのか、その時の私にはわからなかったのだ。
ただただ安堵と睡魔に身を任せ、私は意識を手放した。


170217