勘違いから始まる
勘違いから始まる
「俺も好きだが」
それは思ってもみなかった言葉だった。
牛島くんは私が好きなの?
聞いておいてなんだけど、大分うぬぼれた質問だったと思う。
それに対し、牛島くんは冒頭のこたえをだした。
「ほんと?」
「……? 嘘を言う必要はないと思うが」
つまりは両思いととっていいのだろうか。
思うのと同時、今さら嬉しくも照れくさくもあり、私は体育館から駆け出していた。
つまりは好きと言うのはどういう意味なのだろうか。
考えたときに浮かんだ答えは、嫌いではないのだから好きなのだ、というものだった。
だがしかし、俺が思う好きと霜月が思う好きにはあきらかな違いがあるのだと天童は言った。
「霜月」
「うん?」
「なぜ俺たちは一緒に帰っているんだ?」
そうだ、あの日以来なぜだか霜月と俺は一緒に帰るようになった。
俺にそれがなぜだかわかるわけもなく、だが霜月は俺を見て不安を露にした。
「牛島くん、だって私のこと好きって」
「ああ、好きだが」
「……もしかして、わかってない?」
「なにをだ?」
つまりは何を言いたいのかわからず、俺は霜月を見下ろした。すると霜月は目に涙を溜め、うつむいた。
「私、ばかみたい。牛島くんと付き合ってるつもりだった」
「付き合う?」
「だって、好きってそういう意味だよ?」
霜月が何を言いたいのか、いまだよくわからない。
だが、涙を流すその様がどうにも後味が悪く、それなら霜月の言う好きを受け入れたいと思ったのだ。
「それなら、わかった。霜月、付き合おう」
「牛島くん?」
「お前が泣く姿は見たくないからな」
そうして俺たちは付き合うことになったのだ。
170208