ドッペルゲンガー
※本誌ネタバレ注意
ドッペルゲンガー
転校生が来た。えらくかわいらしいその子は、だけどどこか天然だった。なぜなら、
「あれ、宮くん? さっき購買にいたのに……」
俺には双子の弟がいる。治という名前の典型的なそっくりな双子の弟が。
おそらくミオちゃんが購買で見かけたのは弟の治。だけど、
「それあれやな。ドッペルゲンガーやな」
「えっ、宮くんって二人いるの?」
「せや。あ、ミオちゃん。俺な、ドッペルゲンガーに出会ったら死んでまうからドッペルゲンガー見たときはすぐに俺に報告してな」
「わ、わかった!」
ほら、からかいがいがある。
いくら天然だっていったって、こんな嘘に引っ掛かる人間は早々いない。
「あ、治!」
「なんや侑」
そして俺は、この楽しい遊びを弟の治に早速報告する。
「て訳やから、ミオちゃんに会ったらお前は俺のドッペルゲンガーのふりしてや」
「は? また面倒なこと……」
治は俺に比べて冷静なタイプ。それは百も承知だった。治はいぶかしげに俺を見ていたが、ミオちゃんを見てどうやら考えを改めたらしい。後日ミオちゃんが、
「宮くん! さっきドッペルゲンガーが体育館に行くって言ってたよ」
「さんきゅ」
そんな報告をしてきたのだ。治もまた、ミオちゃんをからかうことを楽しんでいたのだった。まあ確かに俺たちは双子だから、おんなじ子に興味を持っても不思議じゃない。
そんなドッペルゲンガーごっこが二週間ほど続いたある日、その日たまたまミオちゃんが朝練中の体育館に来てしまい、"俺たち"の嘘は終わりを告げた。
「宮くん! ドッペルゲンガーと会って……え? え?」
動揺のあまり言葉を失うミオちゃんを見て、治の方がネタばらしをした。
「俺は、宮治。侑の双子の弟」
「え。えー! 宮くん、騙してたの?」
「騙してたなんて人聞きの悪い。つーか治かてミオちゃんをからかう片棒を担いでたんやし、俺だけ怒られるのは不公平やろ?」
「も、もう! 宮くんなんか知らない!」
ミオちゃんは叫び、体育館から出ていった。
片腹痛くなるまで笑う俺を横目に、治が「どっちの"宮くん"に知らんって言うたんやろ」、なんて呑気なことを呟いていた。
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穂香さまリクエストです。
宮兄弟にちょっかいをだされるお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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