喜々として君
天真爛漫、純粋な彼女は、いつだって俺を翻弄する。
嬉々として君
春高に向けて練習の毎日。これと言って不満はないし、むしろ充実しすぎて怖いくらいだ。
「おーい! 孝支!?」
不意に呼ばれた名前に俺は我に返る。俺を呼んでいたのは幼馴染みのミオだった。
「なに? どうかした?」
ふ、と笑って答えれば、彼女は顔を綻ばせる。
「ん! お弁当、一緒に食べよ?」
その笑顔に何だか目眩がして、俺は目を伏せて答えた。
「仕方ない、なあ」
仕方ない、なんて本当は違う。むしろ喜ぶべきことであって、実際胸が高なってしかたがないのが現実なのに。
二人で誰もいない教室で昼食をとる。ミオは嬉々とした様子で俺に話題をふる。主にそれはバレーについて、なんだけど。
「ねえミオ?」
「なに?」
彼女の話を遮るように言葉を発する。例えば君が。
「例えば俺が……烏野が全国制覇したらさ」
「うん?」
「俺と、付き合ってくれない、かな?」
何でこんなこと言ったのかなんてわからない。ただ俺は彼女が好きで、でもミオの気持ちがわかなくなっていて。
そんな俺を見て、ミオはキョトンと固まったあと照れ臭そうに笑い、そのまま俺を抱き締めた。
「嬉しい……約束、したからね。絶対勝ってよね!」
ふ、と顔を上げたら、花が綻ぶような笑顔の君が見えた。
150408