お兄ちゃんの友だち
お兄ちゃんの友達
中学生の私は、恋をしている。
周りの子の中には、彼氏がいる子も少なくないけれど、私のように、お兄ちゃんの友達に恋をしてる子は皆無だった。
「お兄ちゃん!」
「ミオ、迎えに来てくれたの?」
バレーの練習で帰りが遅いお兄ちゃんを迎えにいくのには、訳がある。
「ミオ、相変わらず小さいね」
「つ、月島さんが大きいだけですよ」
月島さん。彼はお兄ちゃんの友達で、私が思いを寄せる人。
だけど私は素直じゃないから、月島さんに憎まれ口ばかり叩いてしまう。
「月島さんって、性格が子供っぽくて高校生には見えませんよね」
「は? ミオに言われたくないんだけど」
そうやって、いつもいつも私は素直になれないのだ。
私なんか、月島さんとは釣り合わない。子供でひねくれている、私なんか。
胸が、締め付けられた。
山口の妹のミオとは、長い付き合いだ。
昔はあんなに小さくて、僕や山口の後ろに隠れるような子だったのに、どこをどう間違えたのか今では僕に生意気な口をきくようになった。
「あ……」
そんなある部活の帰り道。
ふいに目に入ったミオに話しかけようとして、言葉を飲み込んだ。
同級生であろう男子と仲良く話していたからだ。
「……なんだよ……」
気に入らないだなんて、僕らしくもない。
ミオだってもういい歳なのだ、好きな子の一人や二人いてもおかしくない。
もやもや、した。
それから数日して、山口の家に上がったとき、ミオと出くわした。
「月島さん、いらっしゃい」
「……僕、ミオなんか嫌いだよ。大っ嫌いだ」
心にもない言葉だ。
ミオは目に一杯涙をためて、自室へと走り込んだ。
「ツッキー、はぁ。ミオもそうだけど、ツッキーも大概鈍いよね」
山口は僕のとなりでため息をついた。
鈍い、とはなんだろうか。
「ほら、ツッキー。ミオがツッキーに素直になれないの、ツッキーなら分かるんじゃないの?」
「山口……?」
呆れたように言う山口は、どこか笑っているようにも見える。
ミオが素直じゃないのは、僕を意識してるとか、そんな理由だとでも言うのだろうか。
「ほらもう! ミオは鈍いからちゃんと言わなきゃわからないんだよ?」
山口の言葉に後押しされ、僕はミオの部屋に入っていく。
「ミオ、その……」
「月島さん、ごめんなさい」
僕を見るなり、ミオはおもむろに謝ってくる。その顔には不安や悲しみ、そして。
「僕、ミオが好きだから」
「え?」
不安や悲しみ、そして淡い恋心が見えたのだ。
何で今まで気づかなかったのだろう。
ミオはこんなにも僕にあたたかな眼差しを向けていたというのに。
「わた、わたし……」
「ま、ミオに拒否権なんてないけどね」
ぐっと引き寄せて抱き締めた。
腕の中のミオは、僕を見上げて瞳を揺らしている。
「ミオは僕が嫌いなの?」
意地の悪さはそう簡単には治らない。だけどきっと、ミオには僕の気持ちが伝わっているに違いない。
だってミオは、僕の腕の中のミオは、嬉しそうに笑っていたから。
「私、月島さんが好きだよ」
ほらやっぱり。
素直じゃない僕らは、似た者同士なのだ。
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優希さまリクエストです。
月島くんと山口くんの妹のお話です。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
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