落とし物(「
あの日の想い出」続き)
落とし物
学校の帰り道、ぼーっと道を歩いていたら、人にぶつかった。
「いっ、」
「ふぁ!? 大丈夫ですか?」
オレンジの髪のその人は、私を見てあたふたと慌てる。
あ、この人たしか、日向くんだ。影山くんと同じ学校のバレー部員。
彼はどうやらロードワーク中だったらしい。息を切らしていた。
「あ、大丈夫です」
私は立ち上がって彼に頭を下げ、その場をあとにした。
家に帰って、私は首にかけていたものがないことに気づいた。
中学の卒業式に影山くんにもらった第2ボタンだ。
私はそのボタンに紐を通して四六時中身に付けていたのだ。
「うそ、ない。なんで?」
家中を這うようにして探しても、やっぱり見つからない。
学校だろうか?
「明日、探してみよう」
がっくりと肩を落として、その日は夜も遅かったので寝ることにした。
放課後の練習前、日向がうーん、と唸っているのが見えた。
その手元を見て、思わず日向に詰め寄る。
「お前、何でそれ……」
日向からそれを奪うようにとる。
それは、ミオに渡した、紛れもないミオに渡した俺の中学の制服の第2ボタンだ。
「か、影山!?」
「これ、どうしたんだ?」
「ああ、二三日前に、道でぶつかった人が落としてった……」
きっとミオだ。
俺はそれを握りしめる。大事にもっていてくれたのかと嬉しくなった。
部活を終え、俺は第2ボタンを持ってミオを訪ねるべく学校を出た。
「飛雄ちゃん?」
「及川さん?」
運悪く出くわしたその人は、ミオの兄の及川さんだ。
「なに、お前の家、こっちじゃないでしょ? もしかしてミオに用なの?」
及川さんが挑発的に俺を見る。俺も及川さんをにらむように見た。
「あれ? 徹にぃちゃんと飛雄くん?」
そこに現れたミオは、疑問符を漂わせながら俺たちを見る。
俺は及川さんから視線をはずし、ミオに"落とし物"を手渡す。
「あっ、これ……!」
「もう落とすなよ」
ボタンを受け取ったミオは、ほっとしたように顔をほころばせた。
俺はもう一度及川さんを挑戦するように見たあと、ミオの頭をひとなでし、その場をあとにした。
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千明さまリクエストです。
影山くんで「
あの日の想い出」続きです。
期待に添えたかわかりませんが、精一杯書かせていただきました。
リクエストありがとうございました!
160810